フィットネス業界カオスマップ2020【最新情報】

フィットネス業界カオスマップ2020【最新情報】

パーソナルトレーニングジム「Sharez」を運営している岡崎秀哉です。

弊社で作成した昨年の「フィットネス業界カオスマップ2019」に、コロナウイルスの影響なども含めた2020年の状況をアップデートし、「フィットネス業界のカオスマップ2020」を作成しました。

フィットネス業界には、「どんな種類のジム、スタジオがあるのか」、「それぞれの現況や、今後どうなっていく見通しなのか」、この辺りに注目してみていただきたいです。

これからフィットネス業界に参入したい方や、フィットネス業界に興味のある方にとって、業界の全体像や流れがわかるメリットがあると考えています。

フィットネス業界カオスマップとは?

フィットネス業界は、市場規模で「5000億円程の市場」と言われていますが、上場していたり、売上を公開している企業が少ないので、売上規模ではなく、店舗数が多い順に主要な企業やブランドを選定しました。
※店舗を有するサービスのみで選定させていただきました。

各カテゴリーを店舗数順に並べた際の「上位10社」をピックアップしています。10社よりも少ないカテゴリーに関しては、店舗数が多い順に企業をピックアップしました。

カテゴリー分けとしては、以下の振り分けをしています。

  • 総合型フィットネスクラブ
    ジム、スタジオ、プール、スパ(お風呂)の4点セットが揃ったジム。
  • 24時間ジム
    ジムのみで24時間営業のもの(「スタジオ、プール、スパ(お風呂)」などは無し)。
  • 女性専門フィットネス
    女性専門のサーキットスタジオやパーソナルジム。
  • 高齢者向けフィットネス
    高齢者向けのサーキットスタジオやパーソナルジム。
  • ヨガ・ピラティス
    ヨガ、ピラティスの専門スタジオ。
  • コンセプト型スタジオ
    「加圧トレーニング、EMSトレーニング、暗闇フィットネス、サーキット・HIITトレーニング、サーフフィット、低酸素トレーニング」など特徴的なコンセプトを持つスタジオ。
  • パーソナルトレーニングジム
    マンツーマンでトレーニング指導をするジム。「短期集中型、継続型(都度払いや回数券)、継続型(サブスク)」の3つのタイプがある。

フィットネス業界カオスマップ2020

フィットネス業界カオスマップ2020【最新情報】
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総合型フィットネスクラブ

総合型フィットネスクラブ

総合型フィットネスクラブは、現在日本で「2,000店舗」以上あります。

日本のフィットネス施設は全カテゴリーで5,000店舗以上あると言われていますので、総合型フィットネスクラブが多くの割合を占めています。

近年は、総合型フィットネスクラブの「店舗数、会員数」ともに増えておらず、微減している状態です。

会員数の割合としては、高齢者の比率が増えています。これは、高齢者が総合型フィットネスクラブに多く加入しているというよりは、20〜40代の年齢層が総合型フィットネスクラブから離れ、他のジムやスタジオに移ったことが理由として考えられます。

また、コロナウイルスの影響で、不特定多数の人々が密集してしまう総合型フィットネスクラブは、退会や休会が相次いでいます。

業界大手の「コナミスポーツ」、「セントラルスポーツ」、「ルネサンス」は、2020年の中間決算で、前年比50%ダウンと報告しています。

そんな中、郊外を中心に展開している「ホリディスポーツ」は黒字に踏み止まっています。これは、「地方の方がジムやスタジオの選択肢が少ないこと、都心部より混雑や密集が起きていないこと、低価格であること」などが理由として考えられます。

会員数の減少や、会員の高齢化は今後も続いていくと予想され、総合型フィットネスクラブの数は今後も少しずつ減っていくのではないかと考えています。

24時間ジム

24時間ジム

24時間ジムは、近年急激に店舗数が増えてきており、日本全国に「1,500店舗」以上あります。

総合型フィットネスクラブの店舗数が伸び悩む中、どんどん店舗数が増えているカテゴリーです。

最大手である「エニタイムフィットネス」は、2010年からの10年間で「800店舗」を展開しています。

業界2番手の「ジョイフィット」は、地域や客層に合わせて、月会費の金額やサービスの異なる24時間ジム「JOYFIT24」と「FIT365」を展開することで、エニタイムフィットネスが展開できないエリアに出店しています。

また、業界で3番目に店舗数の多い「ワールド+ジム」は、2017年からの3年間で一気に120店舗以上展開しており、非常に勢いがあります。

上記以外にも、「不動産や飲食」などの異業種企業がオーナーとなる形の24時間ジムが、地方や郊外で増えてきています。

コロナウイルスの影響としては、エニタイムフィットネスの報告によると、「一時的に会員数は減少したが、かなり戻ってきている状況」とのことです。

24時間ジムは、今後も店舗数が増えていきそうですが、月会費の相場などがあるため、施設のスペックやサービスの差により、勝ち負けがハッキリしていきそうなカテゴリーです。

女性専門フィットネス

女性専門フィットネス

女性専門フィットネスは、大きく分けると「サーキットタイプ(短い休息時間で様々なトレーニングを繰り返し行い、全身を鍛えるトレーニングを行うジム)」と、「パーソナルトレーニングタイプ」があります。

女性専門のパーソナルトレーニングジム最大手の「リボーンマイセルフ」は、近年店舗数が減っており、2020年に「エクササイズコーチ(特殊なマシン器具を使ったパーソナルトレーニングサービスを展開するジム)」に買収されました。

今後、リボーンマイセルフの店舗数がさらに減少し、エクササイズコーチに変わっていく可能性もあります。

また、女性専門のサーキットジム「FURDI」は、「AIを用いたサーキットタイプのジム」という、これまでにないコンセプトで店舗数を増やしています。

「FURDI」は、2018年スタートと後発組でしたが、2020年現在、15店舗を展開しており、今後も増えていくと考えられます。

こういった流れを踏まえると、女性専門パーソナルトレーニングジムの店舗数上位の順位は、今後入れ替わっていく可能性があります。

コロナウイルスの影響としては、密室空間で集団でトレーニングを行う「サーキットタイプ」では大きなダメージを受けており、「パーソナルトレーニングタイプ」は比較的影響が少ない状況です。

高齢者向けフィットネス

高齢者向けフィットネス

高齢者向けフィットネスは、日本社会の高齢化と、フィットネスブームが重なり、店舗数が増加傾向であったカテゴリーです。

その中でも、ダントツに増えてきたのが、女性専門で30分間のサーキットトレーニングを行う「カーブス」です。

大元はアメリカでしたが、日本での店舗数が2,000店舗を超え、2020年現在は世界で最も展開しているエリアが日本となり、2018年に大元の「カーブス」を「カーブスジャパン」が買収しました。

「高齢者向けフィットネス」カテゴリーは、カーブス以外は、店舗数がそれほど多くない状態です。

これは、金額が安いという理由で「24時間ジム」を利用したり、効果を求めてパーソナルトレーニングジムに通ったりと、以前より選択肢が増えているからだと考えられます。

トップのカーブスも、「店舗数や会員数」の伸びが鈍化しており、今後も高齢者向けフィットネスの店舗数はそれほど増えていかないのではないかと考えています。

また、カーブスの発表によると、コロナウイルスの影響により、会員数が減少し、休業などを余儀なくされ、「2020年8月は純利益が前期比90%ダウン」という報告があり、かなりコロナウイルスの影響を受けたカテゴリーです。

ヨガ・ピラティス

ヨガ・ピラティス

近年、スポーツ選手でピラティスを取り入れる人が増えたことや、フィットネスブームにより、ヨガスタジオやピラティススタジオも店舗数が増えてきています。

全米で600店舗以上展開している「クラブピラティス」も2018年に日本に上陸し、店舗展開しています。

しかし、コロナウイルスの影響で、「ヨガやピラティスなどのスタジオでの集団レッスンは、感染リスクが高い」という見方があり、各社オンラインレッスンへの切り替えを行いました。

これにより、退会者や休会者の数は、ある程度抑えられ、店舗数はあまり減少していません。

ヨガやピラティスなどは、もともと「指導者の見本の動きを見ながら動く」という構図だということもあり、オンラインレッスンへの切り替えがしやすい形態であったことがプラスに働いたようです。

今後は、オンラインとオフラインをうまく併用できるヨガ・ピラティススタジオが伸びていきそうです。

コンセプト型スタジオ

コンセプト型スタジオ

コンセプト型スタジオは、「暗闇フィットネス、EMSトレーニング、加圧トレーニング、低酸素トレーニング、サーフフィット、ストレッチ専門店」などあります。

暗闇フィットネスでは、2010年代後半から「B-monster」、「feel cycle」などが店舗数を増やしています。

また、身体に貼り付けたパッドが振動することで鍛えられる、EMSトレーニングジムも増えてきています。

一方で、2000年代後半に一時期ブームになった、加圧トレーニングジムは近年は増えておりません。

低酸素トレーニングとしては、2016年にスタートした「ハイアルチ」が、早くも20店舗展開しているので、今後も増える傾向にあります。

コロナウイルスの影響としては、暗闇フィットネスが影響を受けています。それまで3店舗を展開していた「HOTSTEP(暗闇空間でステップエクササイズを行うサービス)」は、2020年6月、2020年8月と、立て続けに店舗を閉鎖しています。

その他の暗闇フィットネスでは、オンラインレッスンなどを行なっていますが、「暗闇で音楽を聴きながら、非日常な環境でのトレーニング」が大きな価値だったので、ヨガやピラティスよりも、オンラインレッスンへの移行が難しい分野と考えられます。

パーソナルトレーニングジム

パーソナルトレーニングジム

パーソナルトレーニングジムは、2012年のRIZAP登場をキッカケに増え始め、2020年現在、日本全国に1,000店舗ほどあるかと思われます。

パーソナルトレーニングジムには、以下の3つのタイプがあります。

  • 「短期集中型」:短期間で集中的にダイエットやボディメイクに取り組むタイプ
  • 「継続型(都度払いや回数券)」:回数券や都度払いで、長期的に継続し、少しずつ効果を出していくタイプ
  • 「継続型(サブスク)」:サブスク(月額固定)の通い放題で、長期的に継続し、少しずつ効果を出していくタイプ

近年は、RIZAPなどの「短期集中型」のパーソナルトレーニングジムよりも、「継続型」の2タイプが両方とも増えてきています。

継続型のパーソナルトレーニングジムでは、2017年以降で20店舗以上展開しているジムが、「リアルワークアウト」、「LiME」、「GYM FIELD」、「エクササイズコーチ」など数社あります。

一方で、短期集中型の最大手の「RIZAP」は、ここ2、3年間は店舗数が増加していません。

コロナウイルスの影響としては、パーソナルトレーニングジムが不特定多数の人が集まる形ではないので、最もダメージが少ないカテゴリーだったのではないかと思われます。

弊ジム「Shibuya Fitness Sharez」でも、4月、5月はダメージがありましたが、6月から徐々に回復し始め、8月以降は新規の問い合わせも増えてきました。

まとめ

2020年現在、増加傾向にあるカテゴリーは、「24時間ジム、コンセプト型スタジオ、パーソナルトレーニングジム」です。

コロナウイルスの影響で、4月、5月あたりはどのカテゴリーも停滞しておりましたが、8月、9月以降は、コロナウイルスの感染者数が少し落ち着き、以前の状況にかなり戻りました。

一方で、「総合型フィットネスクラブ」は減少傾向です。

コロナウイルスの影響により、変化はありますが、今後も集団で集まることは避ける傾向になると思いますので、総合型フィットネスクラブや大型のスタジオは厳しい状況になると考えられます。