パーソナルトレーニングジム「Sharez」代表の岡崎秀哉です。
2024年7月から埼玉県富士見市立市民総合体育館にて、中高年向けの運動プログラム「貯筋体操プログラム」がスタートしました。
本プログラムの監修と指導を、Sharezにて担当させていただくことになりました。
目次
貯筋体操プログラム実施の経緯
今回の「貯筋体操プログラム」は、富士見市立市民体育館が主催で開催されています。
40代以上の方が対象となっており、1回は60分間で、全10回の運動プログラムです。
「貯筋体操」や「貯筋運動」といったプログラムは、全国各地で行われていますが、その元となっているものは運動生理学の権威である福永哲夫氏が提唱する「貯筋運動プロジェクト」であることが多いです。
参考
貯筋運動プロジェクト健康・体力づくり事業財団
体力や筋肉が衰えしまうと、足腰が弱くなってしまい転倒に繋がったり、寝たきりになってしまう恐れもあります。
「自立して生活していくために、運動を積極的に行って筋肉をしっかり強化しておこう」というのが、貯筋運動プロジェクトです。
貯筋体操プログラムの内容
今回の貯筋体操プログラムを担当するにあたり、「参加者の方々の成果を、できるだけ分かりやすくお伝えできるようにしたい」と考えました。
そこで、全10回のうち、「1回目、6回目、10回目」にフィジカル測定を行い、参加者の方々の体力の変化を数値化できるようにしました。
フィジカル測定の内容としては、「どんな場所でも手軽に実施可能であること」、「年齢別のデータが存在しているので、平均値などと測定値を比較しやすいこと」、「データがあるので目標値を設定しやすいこと」などを考慮して、以下の種目を選定しました。
- 2ステップテスト
- 上体起こし
- 長座体前屈
- 立ち上がりテスト
- 閉眼片足立ち
これらは、ロコモティブシンドロームのチェックや、文部科学省が行っている新体力テストなどの実施項目を参考にしています。
2ステップテスト
直立姿勢から大股で2歩進み、どれくらいの距離を進めるか測定し、その距離(cm)を身長の数値(cm)で割ることで、「2ステップ値」を算出します。
この種目により、「下半身の可動性、筋力」をチェックしていきます。
上体起こし
膝を曲げた仰向けの姿勢から身体を丸め、上体を起こします。
この動作を30秒間に何回できるか測定します。
この種目により、「体幹部の筋力」をチェックしていきます
長座体前屈
壁に背中がもたれた長座の姿勢から、前屈し、どれくらい前に手を伸ばせるか、その距離を測定します。
この種目により、「全身の柔軟性」をチェックしていきます
立ち上がりテスト
直立姿勢から、しゃがんでイスにお尻がついたら立ち上がります。
この動作を30秒間に何回できるか測定します。
この種目により、「下半身の筋力、筋持久力」をチェックしていきます。
閉眼片足立ち
目を閉じた状態で片足立ちし、バランスを崩さず何秒間キープできるかを測定します。
この種目により、「バランス機能」をチェックしていきます
1回目のフィジカル測定の結果とプログラムの改善
今回、フィジカル測定に参加された方々は、50代〜70代の年代の方でした。
測定結果の全体の傾向としては、以下の通りです。
- 下半身や体幹部の筋力と柔軟性は、標準あるいはそれ以上
- バランス機能の低下が目立っていた
- 脊柱の動きが固い方が多かった
この結果は、年齢とともに筋力が低下するだけでなく、スポーツや運動をする機会が減っていることで、バランスの崩れに対する反射機能が低下したり、頭の位置や加速を確認する「前庭機能」が低下したり、足底で重心位置を把握する「体性感覚」などが低下してしまっていることが考えられます。
年齢別のバランス機能を調査した研究においても、「60代以降は年齢が上がるとともにバランス機能が低下していく」という結果が出ています。
参考 世代別でのバランス能力の違い日本アスレティックトレーニング学会誌バランス機能が低下してしまうと、転倒しやすくなったり、スポーツなどでも思った動きが取りづらくなってしまいます。
また、脊柱の可動性についても、多様な運動の機会が減り、デスクワークや家事などワンパターンの動きばかりになったり、姿勢を固める機会が増えることで、可動性が低下していると考えられます。
脊柱の可動性が低下すると、肩こりや腰痛になりやすくなってしまったり、姿勢が悪くなってしまう可能性があるので、これらは改善していきたいところです。
測定結果からプログラム内容を改善
今回実施したフィジカル測定の結果を、貯筋体操プログラムにも反映し、プログラムを設計していきます。
具体的には、以下を踏まえたプログラムを準備していこうと考えています。
- バランス機能向上
- 脊柱の可動性向上
- 下半身の筋力を高めること
- 脊柱との連動性を考え、股関節周りの可動性を高めること
また、「会場の環境、使える道具、参加者の体力レベル、時間配分」なども考慮し、毎回のプログラムを構成していきます。
まとめ
「体力が低下しているので、体力を高めたい」といったニーズは、年を重ねると増えてくるものだと思います。
今回のようにフィジカル測定を実施し、「体力」について指標を設けて取り組むと、目標値が明確になり、みなさん興味を持って積極的に取り組んでくださいました。
また、測定結果があることで「参加者の方の傾向や、得意な分野、苦手な分野などが分かりやすい」というメリットがあり、参加者の方々に適したプログラムを作りやすくなります。
今回の「貯筋体操プログラム」は全10回の運動プログラムがありますので、みなさんの貯筋に向けて、効果的・理論的な指導でサポートしていきたいと思います。
今回のような中高年の方々の運動指導や体力測定など、ご興味がある団体・個人の方々がいらっしゃいましたら、「お問い合わせフォーム」より、ぜひお気軽にご連絡ください。