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高校野球部のフィジカル測定会のサポート報告【株式会社S-CADE主催】(2024年5月29日)

高校野球部のフィジカル測定会のサポート報告【株式会社S-CADE主催】

パーソナルトレーニングジム「Sharez」代表の岡崎秀哉です。

Sharezでは、パーソナルトレーニングサービスだけでなく、部活動やスポーツチームへ、フィジカルトレーニングサポートやスポーツ指導も行っています。

今回は、2024年5月29日に株式会社S-CADEさんが主となり、「某私立高校野球部選手の体力レベルを確認するフィジカル測定会」が行われ、私は測定会のサポートとして携わらせていただきました。

本記事では、測定会で実施したフィジカル測定の内容ついて紹介したいと思います。

株式会社S-CADEについて

株式会社S-CADEは、慶應大学発のスタートアップ企業で、「科学的データをスポーツ現場の身近なものに」をコンセプトとし、以下の事業を行っています。

  • 光電管&ジャンプマットの開発・販売
  • 専用アプリのリリースセンサーを用いたフィジカル測定
  • スプリント・ジャンプの筋力発揮タイプ(F-Vプロファイル)の解析

また、測定データの分析結果をもとにフィジカルトレーニングも行っています。

フィジカル測定会の重要性

昨今は高校野球の強豪校の選手の体格も大きくなってきており、フィジカルトレーニングは必須となってきています。

以下のグラフは、春の選抜高校野球出場チームの平均身長と平均体重の推移です。

身長は年によってバラつきがありますが、、体重に関しては2010年前くらいからどんどん増えています。

選抜高等学校野球大会 平均身長&平均体重の推移

引用元:コスメンディさん(Xアカウント)のポスト

また、国際武道大学の1,000名以上の野球選手の調査によると、以下には相関関係があることがわかっています。

  • 球速のスピードと体組成(身体のゴツさ)
  • スイングスピードと体組成(身体のゴツさ)
  • 長打力と体組成(身体のゴツさ)
参考 高校野球選手1030人調査から見えた「体組成データ」と「パフォーマンス」の関係性TORCH(スポーツ × 科学で指導をアップデートするメディア)

また、大谷翔平選手やダルビッシュ有選手を始めとして、身体のサイズが大きな選手が活躍していることもあり、高校野球においても「フィジカルトレーニング、身体づくりの重要性」が高まってきています。

実際に、強豪校の多くは、野球の練習だけでなく、フィジカルトレーニングを取り入れ、定期的にフィジカル測定をし、効果をチェックしています。

フィジカルトレーニングの実施で野球の競技レベルが向上した高校の代表的な事例としては、「広島県の武田高校」や「東京都の共栄学園」などがあります。

参考 高校野球の常識を覆す 広島・武田高校の「フィジカル革命」未来コトハジメ 参考 共栄学園が甲子園出場を果たした背景にある「画期的練習法」 専用グラウンドがなくても大丈夫Sportiva

フィジカル測定の内容

フィジカル測定の内容

今回は、野球に必要なフィジカルを測定するため、以下の種目を測定しました。

  • 立ち幅跳び:上半身を連動させた下半身の筋力を測定します。
  • 垂直跳び:下半身の筋力や瞬発力を測定します。(自体重、10kg荷重、30kg荷重)
  • プロアジリティテスト:素早い動き、正確な動き、器用さが求められます。(5m、10m、5m の順に方向転換動作を2回行い、合計20mの距離をできるだけすばやく移動する所要時間を測定)
  • 30mダッシュ:瞬発力、走スピードを測定します。
  • リアクションスプリント:色を識別し10mダッシュすることで、「瞬発力、走スピード、反応スピード」を測定します。通常のダッシュと比較することで反応の良し悪しも測定できます。
  • メディシンボール投げ:下半身を連動させた上半身の筋力を測定します。(3kg、後ろ投げ、左右投げ)

最初に各種目のやり方と注意点を説明し、60名ほどの部員を2人1組(実施者、記録者)に分けて測定していきました。

これらの種目を、株式会社S-CADEが開発した「光電管やジャンプマット、測定アプリ」などを使って、アナログでは測定できないデータを取得していきます。

フィジカル測定の各種目を測定してみた感想

フィジカル測定の各種目を測定してみた感想

フィジカル測定の各種目を測定してみた感想としては、以下の各種目の感想で記述したのように、「データを取得することも重要であるが、フォームや身体の使い方などの動きも見ていく必要がある」と感じました。

一人一人の動きも見るとなると時間がかかってしまうので、測定時に動画で納めるなどし、データと動きをともに評価していくと、より精度が高く、パフォーマンスアップへの取り組みも効率よく実施できそうです。

立ち幅跳び

立ち幅跳びは、ジャンプ時の身体の角度などが重要になります。

コツを掴んでいる選手は、筋力や身体のサイズ以上に飛べている印象がありました。

このあたりを踏まえると、純粋な記録だけでなく、フォームや身体の使い方なども見ていく必要があると感じました。

垂直跳び

垂直跳びは、「腕振りあり、腕振りなし」の測定方法があります。

腕振りありの場合には、腕の使い方でだいぶ差が出ていました。

また、荷重した状態のものも測定していくことで、バッティング時やコンタクト時など負荷がかかった状況でのパワーを見ることができます。

プロアジリティテスト

プロアジリティテストは、移動時のスピードと切り返しのスピードを合わせて評価するものです。

移動のスピードが早くてタイムが良いのか、切り返しがうまくてタイムが良いのか、タイムだけでなく、動きまでみた上で評価すると、さらに正確な分析ができると感じました。

30mダッシュ

30mダッシュは、スプリント中に身体が起きてしまっている選手はタイムが伸びていない印象でした。

30mは野球における塁間距離に近い距離です。野球の競技特性として、低いスタートから最後はスライディングなどがあるので、前傾姿勢で早く走れるのが理想だと考えられます。

これがバスケットやサッカーになると、走りながらのボール操作も加わりますし、相手選手とのコンタクトもあるので、また違ったフォームでのダッシュ力が求められます。

リアクションスプリント

リアクションスプリントは、野球の場合、ピッチャーの動きを見てスタートを切ったり、ボールの状況を見てスタートを切ったり、といった視覚による判断を伴うダッシュが発生します。

他には、コーチの声を聞いてダッシュするという、聴覚を使った反射も求められるので、テストとして取り入れる場合があります。

メディシンボール投げ

メディシンボール投げは、投げた際のボールの角度や下半身の使い方にコツがあるので、純粋なパワーだけでなく、投げ方による差も評価に踏まえる必要がありそうです。

フィジカル測定データの活用法

今回測定したデータは即時に見ることができるので、そのデータをもとに、「個人、チームでどんな特性があるのかなどの結果のフィードバック、データを改善するためにはどんなフィジカルトレーニングをすべきか」などを解説しました。

測定データをもとに、ロジカルにトレーニングを実施することで、闇雲にトレーニングするよりも効率が良く、怪我の予防にも繋がります。

測定データのフィードバック例

例えば、垂直跳びや立ち幅跳びはかなり飛べるが、30mなどのダッシュがあまり速くない選手がいたとします。

この場合、「パワーはあるがスピードがない」ということになるので、スピードトレーニングに重点を置くべきだということがわかります。

さらに、「5m、10m、20m、30m」などのタイムがわかることで、「スタート局面を改善すべきか、加速局面を改善すべきか」などの細かい部分まで課題を明確にすることができます。

これらを踏まえて、より課題にフォーカスしたトレーニングに取り組むことが可能です。

まとめ

今回、株式会社S-CADEの測定会のサポートに入り、最も感じた点は「専門家と客観的データの重要性」です。

SNSなどでトレーニングやパフォーマンスアップのための情報は手に入りますが、それが自分にとって「本当に必要なものなのか、正しく実施できているのか」などは判断が難しく、間違った情報を手に入れてしまう可能性も高いです。

そんな中で、「専門家の知識や、客観的評価」があると、自分達の現在の状況が可視化され、そのデータから課題を理論的に提示することができます。

間違った方法や非効率な方法を継続するよりも、正しく効率的な方法で継続することで大きな差がついてきます。

もちろん、トップ選手やトップチームには専門的な指導者や詳しい測定データが揃っていますが、そこまでのレベルではないと、「自分たちのレベルでは…」と思ってしまうかもしれません。

しかし、学生時代は、スポーツに打ち込める時期は長くありませんし、間違った方法などで怪我をしてしまったら、その期間はより短くなってしまいます。

測定データの正確性は、測定機器や測定方法によって差はありますが、多くのスポーツチームや部活動では測定すら行われていない場合が多いです。

レベルに関係なく、専門家の指導やデータの測定は大切になってくると思います。

Sharezでは、エリアや競技を問わず、スポーツに携わる多くの方に、専門的な技術や知識を提供し、よりスポーツを楽しんでいただきたいと思っております。

今回のようなフィジカル測定会や、フィジカル強化セミナーなどに関心のある「指導者の方、親御さん、学生さん」などいらっしゃいましたら、「お問い合わせフォーム」より、ぜひお気軽にご連絡ください。

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