パーソナルトレーニングにいらっしゃるクライアント様に一番多い目的は「ダイエット、痩せたい」。
- ネットやダイエット本など様々な媒体から情報を得て、カロリー計算やPFCバランス、〇〇ダイエットなど実践してきたけど思うように痩せない。
- 体重は落ちてきてるのにお腹周りが引き締まらない。
今回は、上記のように痩せ悩んでいる方に、「痩せない原因」と「ありがちな習慣と痩せるために知っておきたい体の仕組み3点」について伝えていきたいと思います。
目次
痩せない原因
痩せない原因は「自分の体脂肪を消費できていない」から。
どういうことかというと、カロリー計算内の食事をしていたとしても、食事から摂取した分のエネルギーを日常で消費しているだけで、自分の体脂肪をエネルギーとして使えていないということ。
なぜ体脂肪をエネルギーとして使えていないかというと、体の中でエネルギーを使う順序は「グリコーゲン(糖質)→筋タンパク分解(筋肉分解)→体脂肪の燃焼」という順序が守られるため、蓄積された体脂肪は順番的に最後になり、なかなか分解されないからです。
ありがちな習慣と痩せるために知っておきたい体の仕組み3点
それでは次に、体脂肪をうまく使うために知っておきたい「体の仕組み」と「体脂肪を使えていないありがちな習慣」について、3点お伝えしていきます。
- 1度で処理できるカロリーや栄養量を超えて食べている
- 朝食を抜いている
- 良いと思って食べているものが意外とハイカロリー
1度で処理できるカロリーや栄養量を超えて食べている
いわゆる人にとって、カロリーのあるものは「糖質、タンパク質、脂質」の3大栄養素。
例えば、基礎代謝が1,200kcalの人が1日に消費するカロリーはおよそ1,800kcalとなります。(基礎代謝×1.5で簡易計算)
そのため、計算上はその範囲内で食事をしておけば維持、もしくは痩せられることとなります。
また、「1,800kcalを3食で割って1食600kcal以内に抑えたら完璧!」と、カロリー計算したのになかなか痩せない……。
こういった場合は、食事指導において1食当たりの糖質量を疑います。
ダイエット中1食当たりの糖質量の目安
糖質は吸収の過程でグリコーゲンというものに変換されるのですが、それを肝グリコーゲンとして肝臓で貯蔵しておける量は、男性で多くても100g程度、女性で65g程度です。
他にもグリコーゲンは筋グリコーゲンとして筋肉にも蓄えられていますが、運動しない場合は使われていません。
肝グリコーゲンは血糖値の安定、脳のエネルギーとして消費するため15g/1h程度を放出していて、約7時間程度で肝臓のグリコーゲンは枯渇します。
つまり1日の摂取カロリー、1食の摂取カロリー内の食事だとしても、主食でご飯1膳(150g)食べていた場合、白米150gには糖質60g含まれているため肝臓で貯蔵できる量と同量となり、主菜、副菜で片栗粉などの糖質を使用していた場合、さらに糖質量は多くなるため貯蔵できなかった分は体脂肪になっています。
そのため、ダイエット中の糖質量は1度の食事ではご飯であればおにぎり1個、女性ならコンビニの納豆巻き程度の量をおすすめします。
朝食を抜いている
アーユルヴェーダやファスティングでは、朝は排泄の時間とされ、「朝食抜き、1日2食」などを推奨されていますが、この朝食抜きは続けていった結果痩せにくく、太りやすい習慣になるといえます。
肝臓はグリコーゲンを貯蔵していると伝えましたが、肝グリコーゲンの貯蔵量が3割を切ると体は飢餓状態と認知し、次の食事から脂肪の合成を高めてしまいます。
また血糖値の安定維持を図るため肝グリコーゲンが減ってくると、筋肉を分解し、筋肉の主成分であるタンパク質(アミノ酸)から糖を作る糖新生を行うため筋肉量が落ち、結果、基礎代謝量が下がり太り易くなってしまいます。
ここで肝グリコーゲン量が3割以下になるのはどのくらいかというと、先述しましたが血糖値、脳のエネルギーとして15g/1h程度使っているため、最後の食事からおよそ6時間、つまり7、8時間の睡眠をとっている間、体は飢餓状態へ向かっているといえます。
朝にエネルギー蓄積モードから消費モードへと切り替わる
また、朝は太陽の光によりエネルギー消費状態が始まります。
人は朝から活動を開始するので、朝日とともにエネルギー蓄積モードから消費モードへと切り替わっていきます。
この時、朝焼け程度の光を感じることで、グルカゴンというホルモン分泌が起こり、その作用で脳が覚醒し、目が覚め、筋肉が働き、全身の細胞が働き始めます。
したがって、早朝は食事がなくても血糖値が上昇します。
しかし、この朝のエネルギー消費状態は、食事をせずに長く続くと体は消費しすぎと判断して急速に省エネモードに切り替わります。省エネになるだけでなく、次の食事に対する吸収と蓄積が増します。
これは、朝食を抜くということは空腹で早朝トレーニングを行い、その後に朝食としてちゃんこ鍋を大量に食べて太るというお相撲さんと同じことをしているといえます。
朝日とともにグルカゴンは肝臓の糖質を放出させ始めます。
つまり、本来はこの時点で肝臓内の糖質は枯渇していきます。枯渇を引き起こす原因は絶食です。
絶食は英語でfastといいますが、つまりfasting状態を壊す。Breakするために食事をとるbreakfast(朝食)が必要です。
また、グルカゴンの血糖上昇作用はインスリンを分泌することで止まるため、朝食においてもインスリンを分泌させるために糖質を摂ることが大切です。
良いと思って食べているものが意外とハイカロリー
アボガドやオリーブオイル、ミックスナッツが多い
森のミルクのアボカド、サラダにはオリーブオイルとペッパー、ソルトでドレッシング代わり……。
このように良質な脂質だからと食べていませんか?
また、間食にミックスナッツ。これらのメインの成分は脂質です。
つまり、油なのでカロリーは1gあたり9kcalあり、食べ過ぎたら太ります。
乳製品が多い
他にもカルシウム、タンパク質摂取のために牛乳、発酵食品で体にいいからとヨーグルト……。
これら乳製品のメインの成分も脂質です。
牛乳1杯にはなんと唐揚げ4〜5個分の脂質が含まれています。
このように思わぬところで余分なカロリーや栄養を摂っていることも多くあります。
あくまでこれらは一例でしたが、カルシウム摂取にはじゃこや煮干しなど小魚から摂ることでタンパク質も一緒に摂ることができます。
フルーツが多い
また、朝のフルーツも要注意です。
フルーツ全般に多く含まれる果糖。同じ糖質でも果糖とブドウ糖ではそれぞれ構造が異なるため体内での使われ方が異なり、ブドウ糖は血糖となり全身のエネルギーになりやすく、果糖は肝臓で中性脂肪に変換されやすい性質があります。
このようにフルーツに含まれる果糖とご飯やパンなどに含まれるブドウ糖では吸収経路が違い、果糖の方が3倍太りやすいと言えるのでおすすめしません。
そのため、食物繊維、ミネラル、ビタミンを摂りたい場合は野菜をお勧めします。
スーパーフードが多い
亜麻仁油が良い、エゴマ油が良い、チアシード、アサイーetc……。
これからもたくさんのスーパーフードなどが登場すると思いますが、これらの有効成分が本当に効力を発揮するのは基本を押さえてからだと考えています。
まとめ
上手に痩せるためには、身体のリズム、システムをうまく味方につけた食事をしていきましょう!
食事と食事の間隔は1日24時間、睡眠時間を6時間とすると残りが18時間、それを3食で割ると6時間となり、これは肝臓の貯蔵限界である7時間以内となります。
したがって約6時間毎に1食を目安に、1日に必要なカロリーを3分割して、糖質量を気にして3食食べることがもっとも体脂肪を蓄積しない食生活となります。