ここ数年、TVや雑誌など様々なメディアで「良質な油は身体に良い」という情報を目にしたことはありませんか?
この良質な油というのは、主にオメガ3と呼ばれる油の種類を指しています。このオメガ3を多く含む食品が、「青魚や亜麻仁油(フラックスオイル)、えごま油といった植物油」になります。
オメガ3を摂取することでなぜ身体が元気になるのか?
今回は、良質な油の摂取が身体を元気にするということを、「細胞の働き」という部分にも触れながら書いていきたいと思います。
目次
「脂肪の種類」と「細胞の働き」を確認しよう
まず「脂肪の種類」と「細胞の働き」を知っておく必要があるので、それぞれ説明します。
脂肪の種類
「脂肪」の種類を整理すると、上図のようになります。
冒頭に登場したオメガ3は、多価不飽和脂肪酸の1つです。
牛や豚、バターなどに多く含まれる飽和脂肪酸、オリーブオイルに含まれる一価不飽和脂肪酸が体内で作られるのに対して、オメガ3、オメガ6は体内でつくることができない脂肪です。
そのため必須脂肪酸と呼ばれ、食事から摂取して体内に取り入れることが必要になってきます。
細胞の役割
私たちの体は60兆個の細胞で構成されていると言われています。
そしてその細胞の1つ1つが生命活動を行っており、役割ごとに分けると約270種類あると言われています。
それぞれの役割によって、細胞の働きや形は異なってきますが、今回はイメージしやすいように細胞の構造を上図に表します。
- 核→細胞の中心で、DNAなどが存在する
- ミトコンドリア→糖や酸素からエネルギーを生み出す、発電所の様な役割をしている
- 細胞膜→細胞と細胞の境界線で、細胞が活動する為に必要な酸素や栄養素を取り込み、細胞内で発生した老廃物を細胞外に排泄する
「骨、筋肉、内臓、脳」などは沢山の細胞が集まってできています。そしてその細胞の1つ1つがしっかりと役割を果たして、機能してくれることで毎日元気に活動することができています。
細胞を良い状態に保つことが重要
しかしながら加齢と共に細胞も衰えていきます。
人の身体には、ある一定の期間で寿命がきて入れ替わっていく細胞と、生まれてから死ぬまでほとんど入れ替わらない細胞が存在します。
寿命がある細胞はこちらです。
- 肌(皮膚)→30日間
- 筋肉・肝臓→60日間
- 骨→90日間
- 血液(赤血球)→120日間
- 胃腸→5日間
- 骨→90日間(1つの骨が生まれ変わるのが)、全身の骨だと約3年
ほとんどの細胞は、ある一定期間で入れ替わり(ターンオーバー)が行われていくのに、なぜ老化するのかと疑問に思われる方もいると思います。
実はターンオーバーできる回数は、あらかじめ遺伝子によってプログラムされていると言われています。
また加齢と共に、そのスピードは遅くなり、最終的にターンオーバーができなくなり、細胞の働きは低下していきます。
分かりやすい例でいうと皮膚です。加齢と共にしわやたるみが出てきて、若い頃に比べると弾力性も失われて衰えていくのを感じると思います。
「細胞の入れ替わる回数には限界がある」と考えると、ある一定期間の細胞のターンオーバーに期待するのではなく、細胞を常に良い状態に保つということが、私達が毎日元気に過ごしていくためにとても重要になってきます。
細胞を良い状態に保つには?
細胞を良い状態に保つ鍵は「細胞膜」にあります。
上記で説明したように、細胞膜は細胞に酸素や栄養素を取り込み、細胞内で発生した老廃物を排泄するという重要な役割を担っています。また脳からの情報を伝達するという役割も果たしています。
細胞という工場がその役割を十分に果たすためには、燃料となる「酸素」「栄養素」が十分に運ばれてくる必要があります。
そして、工場が稼働する中で発生したゴミ(老廃物)を外に運びださないと、工場内の環境は悪くなり、上手く稼働しなくなります。
つまり「細胞を良い状態に保つ = 細胞膜を良い状態に保つ」ということになります!
良質な油が細胞膜を良い状態にする!
細胞膜は2つの脂質の層で構成されていて、その層の中に特殊なたんぱく質が様々な形で埋め込まれています。
細胞の活動のために必要なものは細胞内に取り入れ、不要なものは排出するという「門番」のような働きを担ってくれています。
細胞膜がしっかりと機能して、優秀な門番となって働いてくれるには、構成成分である良質な脂質を摂取することが重要と言われています。
細胞膜を構成する2つの脂質
- オメガ3:細胞膜を柔らかくする働きがある
- オメガ6:細胞膜を硬くする働きがある
この2つの脂質は正反対の作用を持っているため、どちらかに偏って摂取すると細胞膜の働きが低下します。
例えば、食事の内容がオメガ6を沢山含む食品に偏っていたら細胞膜は硬くなり、その逆でオメガ3に偏れば細胞膜は柔らかくなりすぎるということになります。
細胞膜がしっかりと機能してくれるには、オメガ3とオメガ6のバランスが重要です!
実際には、私達現代人の食生活はオメガ6を多く摂取していて、オメガ3が不足している状態だと言われています。
オメガ6を多く含む食品
「鶏肉、ひまわりの種、松の実、マヨネーズ、サラダ油、コーン油、ごま油、大豆油」など。
低脂質高たんぱく質な食材として、ボディメイク時の食事には多く登場する「鶏肉」が含まれていたことに驚いた方もいたのではないでしょうか。
私も初めて知ったときには驚きました。数十年前に動物性脂質に比べて血中コレステロール値を下げると言われて、身体に良いとされていた「サラダ油やコーン油、大豆油など植物油」もリノール酸(オメガ6の1つ)を多く含んでいます。
オメガ3を多く含む食品
「青魚(サバ・イワシ、サンマなど)、亜麻仁油(フラックスオイル)、えごま油(しそ油)、くるみ、チアシード」など。
青魚がオメガ3を多く含むということはご存知の方も多くいのではないでしょうか。それ以外では「亜麻仁油、えごま油、しそ油といった植物油」がオメガ3が豊富です。
改めて、それぞれの脂質が含まれている食品を見たときに、私たちの普段の食事内容がオメガ6に偏っていることに気づいたと思います。
オメガ6に偏っている状態を改善していくためには、普段の食事で意識してオメガ3を多く含む食品を取り入れることが大切です!
細胞を元気にするために明日から意識していきたい5つのポイント
- 1日1回は魚を食べる(できれば生の状態の刺身がベストです)
- 揚げ物を食べる頻度を減らす(油を使わない調理方法、蒸す、ノンフライヤーを取り入れる)
- トランス脂肪酸を多く含むマーガリン、ショートニングを使用した菓 子パン、菓子類、レトルト食品を食べる頻度を減らす
- 亜麻仁油、えごま油からドレッシングを作る
- 出来立ての料理を食べるようにする。調理されてから時間が経過した惣菜はなるべく避ける(調理されてから時間が経過した食品は油が酸化していて、細胞膜に悪影響を与える)
トランス脂肪酸とは?
トランス脂肪酸とは「不飽和脂肪酸の1種」で、液体状の植物油を固形にする過程でつくられます。
構造がプラスチックと似ているため、食べるプラスチックと言われ、体内に入るとガンの原因になる活性酸素を作り出し、更に細胞膜の働きを阻害します。
アメリカやヨーロッパでは法律で食品への使用が制限されていますが、日本では欧米に比べて摂取量が少ないという事を理由に規制されていないません。
身近な食べ物だと、「コンビニの洋菓子、菓子パン、スナック菓子、安価な揚げ物」などにトランス脂肪酸を多く含む加工油脂が使用されています。
まとめ
「身体は食べた物で出来ている」という考え方から、「身体の働き、細胞の働きを高めるための食事を何なのか」という視点からアプローチすることが大切です。
トレーニングと食事というのは、切っても切り離せないものだと考えています。
どちらか1つだけに偏ってしまっては、細胞膜の状態を左右するオメガ3とオメガ6のように良い結果は産まれません。
まずは自分のライススタイルを振り返って、トレーニングと食事のそれぞれで始められることから実践していくのがおすすめです。