今回はヨガで用いる呼吸法であるプラーナヤーマを、最も基礎的なヨガである「ハタヨガ」を例に説明します。
深い呼吸と動作が連動することによって期待できる、肩こりの解消や柔軟性向上、筋力アップやダイエット効果についても触れていきます。
目次
まずハタヨガとは?
ハタ・ヨガは16世紀の行者スヴァートマーラーマのヨーガ論書『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』において体系的に説かれたとされている。
「ハタ」はサンスクリット語で「力」、「強さ」といった意味があります。その他にも、「ハ」は「太陽」を意味し、「タ」は「月」を意味する。そのため、ハタ・ヨガとは陰(月)と陽(太陽)の対となるものを統合した流派とされている。
”ハタ・ヨーガ”『ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典』
更新日時:2017年6月22日 (木) 10:52 URL: http://ja.wikipedia.org
スヴァートマーラーマが説いていた「ハタ・ヨガ」は、より高いレベルの瞑想に至るための準備段階であり、身体を鍛錬し浄化する段階であると説明しており、ムドラー(印相)と、プラーナーヤーマ(調気法)を中心としている。
一方健康やフィットネスを目的とするエクササイズとして20世紀後半に欧米で大衆的な人気を獲得した現代の「ハタ・ヨガ」は、伝統のハタ・ヨガとのつながりは極めて薄いといわれている。
現代広く普及している、独特のアーサナ(ポーズ)を練習の中心に据えたヨガは「創られた伝統」ではありますが、その中でも呼吸法であるプラーナーヤーマとアーサナ(ポーズ)の連動には重きを置いている。
プラーナーヤーマとは?
プラーナヤーマの「プラーナ」は、生命、息、生気という意味。
「アーヤーマ」は、休止、制止、コントロールという意味から、「プラーナヤーマ」は生命エネルギーをコントロールする、調気法、呼吸法を意味し、呼吸によってエネルギーを全身に取り入れ、身体中に行き渡らせることを目的としています。
まずは下のようにあぐらをかくような姿勢になり、手は前で合掌しても、膝の上に置いてもかまいません。
とにかく意識するのは骨盤から背筋を一直線に伸ばし、空気の通り道を確保してあげることです。
プラーナーヤーマのやり方
伝統的なプラーナヤーマは、長い時間をかけて「吸う→止める→吐く」を繰り返します。
これは熟練者がやっても難しいため、以下のように意識して、サイクルを5~10分ほど何も考えずにやってみてください。
プラーナーヤーマの息を吸うとき
あまり身体のどこから吸うという意識を持たず、鼻から細く長く、全身を使って空気を吸う。
目安としては6秒程度かけて、お腹・胸いっぱいに空気を吸い込んだ状態を作りだします。
※鼻から吸うのが難しい場合は口でも可。
プラーナーヤーマの息を吐くとき
吸うときと同じように鼻から細く長く、身体の芯は保ちつつ脱力するように鼻から吐く。
目安としては、同じように6秒程度かけて全身の空気を吐き出します。
※鼻から吐くのが難しい場合は口でも可。
プラーナーヤーマでうまく呼吸するポイント
ポイントは「無理なく、自分のペースで行うこと」です。
苦しくなったら通常の呼吸に戻し、息が整って、リラックスしてから再度行いましょう。
心が沈んでいるとき、苦しいときは無理に行ってはいけません。
目を閉じて横になり、心と身体が落ち着いた状態ではじめることが、とても大切です。
プラーナヤーマの効果
呼吸のコントロールを学ぶことは、感情に支配されがちな心のコントロールを学ぶことです。
息を吸うことで交感神経を、息を吐くことで副交感神経を刺激しています。交感神経と副交感神経を交互に刺激していくことで、偏りがちな神経のバランスをとるように働きかけることが可能なのです。
また、身体から余分なこわばりや関節の固さが徐々にほぐれていき、呼吸とともに柔軟性の向上が期待できます。
特に息を吐く際にアーサナ(ポーズ)を深める意識を持ち、可動域を広げていくと、今まで使ったことがない筋肉が使われ、筋力アップだけでなく、血流やリンパの流れが良くなることによってむくみの改善・ダイエット効果も期待できます。
呼吸はトレーニングにも共通すること
ここまでヨガの内容がほとんどでしたが、深い呼吸ができるようになると、トレーニングにもいい影響を与えてくれます。
極端に固い関節がある方の場合、まずは呼吸とともにその関節・筋肉をほぐし、力を抜くようにしましょう。
この段階で今まで脳が設定していたリミッターが外れ、猫背等、長年の身体の癖から解放され、正しく狙った筋肉へ刺激を与えることができることによって飛躍的にトレーニング効果が上がります。
まとめ
ヨガもトレーニングもただやればいいのではなく、呼吸と動き、さらに精神状態も連動してくることによって心身のバランスが取れるだけでなく、お互いの相乗効果が生まれます。
日々のトレーニングでそのコントロールができるようになれば、日常生活での身体的な変化や精神的な変化に対応しやすくなります。
まずは1日1回、全身を使ってプラーナーヤーマをはじめてみてください。きっと何かが変わりはじめると思います。