パーソナルトレーニングジム「Shibuya Fitness Sharez」トレーナーの鈴木大也です。
都内の中学校ラグビー部の方々に、「ラグビーのパフォーマンスを上げるためのトレーニングセミナー」を開催しました。
本記事では、セミナーの内容を紹介したいと思います。
目次
パフォーマンスアップセミナー開催の経緯
ラグビー部のコーチをしている大学時代の友人から、「ラグビー部の方々のフィジカルや、ラグビーのパフォーマンスを上げていきたい」という相談があり、本セミナーの開催となりました。
これまでトレーナーとして活動する中で学んだ知識を提供し、「今よりも良いパフォーマンスでラグビーができるように、そして少しでも楽しんで部活動をしてほしい」という想いから、ラグビー部のみなさんにお話しする機会をいただきました。
今回は、「1年生が5人、2年生が4人」の9名の方にご参加いただきました。
ラグビーで必要なフィジカル能力
まずは、ラグビーの動きから、「どんなフィジカル能力(体力、筋力、持久力、柔軟性、敏捷性)が必要なのか」をお伝えしました。
ラグビーのスキルとしては、「ラン、パス、キャッチ、タックル、ジャンプ」などの動きがありますが、それらの動きをよくするためには、以下のフィジカル能力を向上する必要があります。
- スピード
- 筋力
- 身体の安定性(体幹の制御)
- 関節の可動性(自らの関節を自由に動かせる能力)
- 筋肉の柔軟性
ラグビーにおけるパフォーマンスピラミッドの考え方
「ラグビーを上手くなっていくためには、具体的にどこの能力を鍛えていけば良いのか」という点について、パフォーマンスピラミッドを用いて、考え方をお伝えしました
パフォーマンスピラミッドは、「スキル」「パワー・スピード」「基本的な動き・姿勢」の3つの層に分かれおり、一番下の層である「基本的な動き・姿勢」をトレーニングすることで、ピラミッドの土台が安定し、中層の「パワー・スピード」や、さらには上層の「スキル」が上達して、パフォーマンスが向上するという考え方です。
まずはパフォーマンスピラミッドの下層を鍛えることが大切
パスやタックルなどの「スキル」を向上するためには、ひたすらその動作を反復するといった練習方法だけでは、上達に時間がかかってしまいます。
この方法は一般的に取り入れられていますが、実は効率が良い練習方法ではありません。
例えば、タックルで強いパワーで押したり、身体を低くし踏ん張るためには、下半身を強化する必要性があり、スクワットなどの下半身トレーニングをした方が、タックルのスキル向上スピードが上がります。
さらに、パフォーマンスピラミッドの最下層のことを考えると、下半身トレーニングの強度を高めるためには、「筋肉の柔軟性や関節の可動域、安定性」を高めることが重要になってきます。
パフォーマンスピラミッドの考え方は、まだあまり認知されていないと思います。
実際に、私は中学生時代、陸上中距離選手でしたが、走る本数やセット数にこだわった練習を多くしていました。
基本的な動作や、正しく身体を使うという考え方は疎かになっていました。
「筋トレをすることで筋肉の出力が上がり、スピードが出ることでタイムが上がったり、ストレッチにより柔軟性や可動性を高めることで、ケガなく効率よく練習を継続でき、パフォーマンスを上げることができたのではないか」と、今では思います。
トレーニング種目紹介
今回は、パフォーマンスピラミッドの考え方を取り入れて、ラグビーのスキルを高めていくためのトレーニング種目を7種類紹介しました。
「タックル、パス、ジャンプ、キック」などラグビーの動作を強化するためには、基礎筋力が必要となります。
技術の練習だけでは、筋力自体は上がってこないため、今回のトレーニング種目を取り入れることが重要です。
- WGS(ワールドグレイテストストレッチ)
- フロッグスレッチ
- ハンドウォーク
- ベアウォーク
- スクワット
- プッシュアップ
- ベントオーバーロー
WGS(ワールドグレイテストストレッチ)
WGS(ワールドグレイテストストレッチ)は、一度に色々な関節を動かすことができる種目です。
胸を大きく開いたり、股関節を大きく動かして、下半身のストレッチも可能です。
タックルやパスなどの動きで必要な関節の可動性を、この種目で確保していきます。
生徒のみなさんは、最初動きが硬かったり、上手くできないことがありましたが、上手く行うためのポイントをアドバイスしたところ、指示無しでもできていた印象があります。
フロッグスレッチ
フロッグストレッチは、「股関節の可動性、太もも内側と裏側の柔軟性を上げる」種目で、股関節の動きを作っていく動作です。
お尻をひく動きは、蹴り出す前の動作となり、タックルやスクラムで前方向に爆発的なパワーを発揮するため、重要となります。
ハンドウォーク
ハンドウォークは、床に手をついて、その手を徐々に遠くに伸ばしていく種目です。
手が遠くなるほど背中が反りやすくなり、肩でしっかり身体を支えるのが難しくなります。
タックルやスクラムで相手を押す際に、背中が反り過ぎたり、肩で相手を抑えることができないと、下半身からの力を上半身に伝えられず、相手を抑えることができません。
背中や肩が安定していると、タックルやスクラムが力強くなります。
実施した結果としては、「腰を反ってしまったり、手が遠くまでいかない」ケースが多かったです。
普段からこのトレーニングも取り入れてもらうことをオススメしました。
ベアウォーク
この種目は、四つ這いの姿勢から膝を浮かせてハイハイ歩きをする体幹トレーニングです。
タックルをする際は、脊柱や肩関節が安定していることで、下半身からの力を上半身に伝えることが可能となります。
脊柱や肩関節が安定していないと、背中が丸まってしまい、腹部に力が入らなくなります。そうなると、正しいタックルができませんし、怪我にも繋がってしまいます。
スクワット
スクワットは、膝関節や股関節の曲げ伸ばしを連動させる動きで、下半身の筋力を上げるトレーニングです。
タックルや走る時の脚を持ち上げたり、地面を踏ん張ったりする動作と類似しているため、スクワットをすることでこれらの動きが強化されるということをお伝えしました。
これまでも部活で取り入れている種目だったのですが、正しいフォームで実施できておらず、「膝だけ曲げてしまうスクワットや、背中が丸まってしまうスクワット」になっているケースが多かったです。
今回は正しいやり方とその効果をお伝えし、再度なぜやるのかを考えてもらって、動いてもらうようにしました。
プッシュアップ
プッシュアップは、肘や肩関節の曲げ伸ばしをする動きで、押す力の強化が可能です。
相手を手で押しのける動きや、タックルで相手を押すための力の強化につながります。
言い方を変えると「腕立て伏せ」で、ベーシックな筋トレですが、スクワットと同じように正しいフォームで出来ていないことが多いです。
本セミナーでも、「腰が落ちて上半身だけ上がってしまったり、お尻から上がってしまう方」もいました。
正しいやり方と、疲れてきてエラー動作が出てきた場合にどうすれば良いのかをお伝えし、実施してもらいました。
ベントオーバーロー
ベントオーバーローは肘や肩関節の曲げ伸ばしをする動きで、引く力の強化が可能です。
相手からボールを奪う場面や、タックルしたときに腕で相手の膝を引く力の強化につながります。
2人ペアで行う種目で、体格差などがどうしても出てきてしまうため、引き上げるのが難しく感じる方もいました。
マシンやウェイトがない環境でしたので、「2人ペアで行うベントオーバーロー」は背中を鍛えられるいい種目ですが、実施のしやすさにはもう少し配慮してお伝えできたらよかったと思いました。
まとめ
今回は、ラグビーのパフォーマンスを上げるためのトレーニングについてお話しさせていただきました。
スキルを上達させていくためには、パフォーマンスピラミッドの下層をトレーニングで向上させていくことで、パフォーマンスアップにつながります。
今回のセミナーでは、学生の皆様が積極的に取り組んでくれたことがとても好印象でした。
本日紹介させていただいたトレーニング種目を継続してもらうことで、ラグビーのパフォーマンスアップに繋げていただけたらと思います。
今後もジュニアアスリートや学生アスリートはもちろんですが、その親御さんにもお伝えする機会を増やしていきたいと考えています。
エリアや競技を問わず、スポーツに携わる多くの方に、専門的な技術や知識を提供し、よりスポーツを楽しんでいただきたいと思っております。
今回のようなパフォーマンスアップセミナーや、フィジカル強化セミナーなどに関心のある指導者の方、親御さん、学生さんなどいらっしゃいましたら、「お問い合わせフォーム」よりご相談ください。