パーソナルトレーニングジム「Sharez」代表の岡崎秀哉です。
岐阜県立吉城高校にて、剣道部の先生からご依頼をいただき、「下半身のケガ予防と体幹トレーニングに関するトレーニングセミナー」を行いました。
目次
剣道部向けケガ予防&体幹トレーニングセミナー開催の経緯
岐阜県立吉城高校の剣道部では、「ふくらはぎや、足首付近のケガが多い」という悩みがあるとのお話でしたので、今回は「下半身のケガの予防策」をお伝えする機会をいただきました。
また、『「剣道に有効な体幹トレーニング」や「竹刀操作に必要な背中の筋肉の鍛え方」も教えてほしい』といったリクエストをいただきましたので、それらの内容も含めたセミナーを開催しました。
剣道部向けケガ予防&体幹トレーニングセミナーの内容
今回のセミナーの流れは以下の通りです。
- 「剣道で起こりやすいケガ」と「ケガの要因」について
- ケガを防ぐには?
- ケガ予防のための「ストレッチ」と「動き作り」
- 剣道に有効な体幹トレーニングの紹介
- 【番外編】ウエイトトレーニングの基礎種目紹介
今回は、「部員11名、マネージャー2名、顧問の先生2名」の方に、ご参加いただきました。
①「剣道で起こりやすいケガ」と「ケガの要因」について
日本剣道協会のホームページに、「剣道で最も多いケガはアキレス腱の断裂である」と記載されています。
参考
剣道稽古・試合中におこる外傷と障害全日本剣道連盟
岐阜県立吉城高校の剣道部でも「ふくらはぎから足首にかけてのケガが多い」とのことでしたので、これは剣道特有の問題であると考え、学生達にも説明し、下半身のケアの必要性を説明しました。
日本剣道協会のホームページによると、剣道において多いケガの第二位は「腰痛」だそうですが、実際に岐阜県立吉城高校の剣道部にも腰痛の部員がおり、ケアの必要性を実感しました。
②ケガを防ぐには?
ケガには、いくつか種類があります。
- 外傷性のケガ:打撲や擦り傷
- 骨関節性のケガ:捻挫や骨折など、「骨、靭帯、腱」を痛めるケガ
- 筋肉性のケガ:筋挫傷や肉離れなど
競技スポーツ時に起こりやすいケガの代表的なものとしては、筋肉性のケガの「肉離れ」があります。
※「肉離れ」は、筋繊維が急に大きな力で引っ張られ、耐え切れず筋繊維の一部が傷ついてしまうことを指します。
「肉離れ」や「アキレス腱の断裂」などの筋肉性のケガを防ぐためには、以下の取り組みが必要になります。
- 筋力を高め、強い力で引っ張られても耐えられるようにする。
- 柔軟性を高め、引っ張られた際の伸縮性を強化しておく。
- 引っ張られた際にしっかり反応するようにウォーミングアップなどで筋肉のコンディションを整えておく。
この考え方をもとに、以下のような「ストレッチ」と「動き作り」を紹介していきました。
③ケガ予防のための「ストレッチ」と「動き作り」
スポーツ強豪校や有名私立学校などでは、専門のコーチや指導者がいるところも多いと思うので専門的な指導が行われていると思いますが、公立高校や通常の部活動におけるウォーミングアップの内容は昔からの伝統的なストレッチなどをなんとなく行っているケースが多いのではないでしょうか。
実際に、吉城高校剣道部では、「いつも同じウォーミングアップを全体で行っている」とのことでした。
そこで今回は、剣道の動きへの考慮と、「ふくらはぎ、足首、足の裏などのケガが増えている」という事前相談から、「膝から下の部分」にフォーカスしたストレッチを紹介しました。
- 下腿部(ふくらはぎ)のストレッチ
- 足の甲のストレッチ
- 足の裏のストレッチ
- 足の指のストレッチ
- 足首、足の指を強化するドリル
上記の内容を、円になって一つずつ見本を見せながら、一緒に実践していきます。
ストレッチは正しいフォームで行わないと効果が薄くなってしまうので、一人一人の動きをチェックしながら実施しました。
④剣道に有効な体幹トレーニングの紹介
剣道においては、足さばきによる「前後、左右」の動きが多く、その上で相手の動きに対して反応するので、不規則なリズムでの動きの変化が求められます。
その度にバランスを崩していたり、体幹部のポジションが安定した位置から崩れてしまうと、力強い攻撃もできないですし、バランスを調整する時間が発生するので、次の動作への反応が遅れてしまいます。
そこで、今回の体幹トレーニングは以下の2点を目的とし、腹筋群と背筋群(腰部)の体幹トレーニング種目を取り入れました。
- 体幹部の筋肉を鍛え、安定性を高めること
- 不規則な動きにおいて体幹部をコントロールできるように強化していくこと
腹筋群の体幹トレーニング種目
腹筋群の体幹トレーニング種目は、以下の3つを紹介しました。
- クランチ
- ツイストクランチ
- ツイストトゥタッチ
クランチから始めて、徐々に強度と難易度を高くなる順番にしており、部員たちのフィジカルチェックも兼ねて行いました。
比較的細身の部員が多く、ツイストトゥタッチまではなかなか難しそうでしたので、今後は、「まずクランチを20回行い、30〜60秒休んで再度20回行う」というものを、3セット繰り返すことを目指して行うことをお伝えしました。
その後、徐々に回数を増やしていき、ツイストクランチやツイストトゥタッチへと、レベルを高めていくのが良いと思います。
背筋群の体幹トレーニング種目
背筋群の体幹トレーニング種目は、以下の3つを紹介しました。
- バックエクステンション
- ツイストバックエクステンション
- クロールバックエクステンション
腹筋群の種目と同様に、バックエクステンションから始めて、徐々に強度と難易度を高めていく順番で紹介しました。
こちらも、「まずクランチを20回行い、30〜60秒休んで再度20回行う」というものを、3セット繰り返すことを、第一の目標としました。
その後、回数を徐々に増やたり、休息時間を徐々に短くするなど強度を高めていき、難易度の高い種目を実施していくことをお伝えしました。
プラスαの体幹トレーニング種目
さらに、筋肉を伸び縮みさせずに負荷をかける、アイソメトリックなトレーニング種目として、以下の3つを紹介しました。
- プランク
- ダイアゴナルプランク
- プランクニートゥエルボー
部員の方々もなかなか難しそうでしたが、プランクから始めて、徐々に難易度が上がっていく内容ですので、覚えやすく、自宅でもできる種目かと思います。
部活動時のウォーミングアップや、筋トレの日に取り入れてもらうのもオススメですし、部活でできない場合は自宅での自主トレとして行うのもオススメの内容です。
【番外編】ウエイトトレーニングの基礎種目紹介
体幹トレーニングをお伝えした後に少し時間が余っていたこともあり、顧問の先生からのリクエストで「ウエイトトレーニングのポイント解説」を実施しました。
場所をウエイトトレーニング器具のある柏葉会館に移動し、「ベンチプレスとスクワットの基本動作とポイント、注意点」をお伝えしました。
ベンチプレス
まず、部員の数名の方にベンチプレスをいつも通り行っていただきましたが、「肩甲骨がうまくセットできておらず、バーを持ち上げる際に肩が前方に出てしまっている状態のフォーム」が多く見られました。
この状態だと、以下のマイナス要素があります。
- 動作が不安定になり、腕が疲労しやすい。
- 移動距離が増えてしまい、重さを扱いづらい。
- 動作にバラつきあるので胸に効きづらい。
そこで、肩甲骨を寄せた形で、フォームや動作の安定性を高めるアドバイスを行いました。
スクワット
スクワットも数名の方に実施していただいたところ、「しゃがみが浅く、上体が起きてしまっているフォーム」が多く見られました。
この状態だと、以下のマイナス要素があります。
- 膝の曲げ伸ばしが大きいので、大腿四頭筋(前もも)ばかりに効いてしまう。
- 股関節の動きが小さいので、臀部(お尻の筋肉)、ハムストリングス(もも裏)などに効きづらい。
- 身体が起きてしまっているので、体幹部に効きづらい。
- 使われる筋肉の割合が少ないので、高重量を扱いづらい。
- 膝関節のケガのリスクが高まる。
そこで、「上体を少し倒し、お尻を下げながらも後ろに引き、股関節をしっかり使うフォーム」にしていくことをお伝えしました。
しゃがむ深さに関しては、正面や横から見た際に、膝の位置よりも、お尻が深い位置に行くまでしゃがむことのが目安です。
剣道部向けケガ予防&体幹トレーニングセミナーのまとめ
剣道は裸足で行う特性上、シューズのクッション性やホールド感を得られないので、コンタクトスポーツほどではないですが、ケガのリスクはあると思われます。
吉城高校の場合は、曜日や時間帯によって部活動の実施時間が異なるので、その日によってウォーミングアップやクールダウンのメニューの内容(種目の選定やセット数など)も変えないと効率が悪くなってしまうのでアレンジが必要だと感じました。
また、ウエイトトレーニングに関しては、ウエイトトレーニングの器具はあるものの、専門の指導をしてくれる人がいない状況で、安全面や効果の面から言っても専門的な指導の機会の必要性を感じました。
今後、定期的にお伺いし、部活全体のメニューの改善や、ウエイトトレーニングのスキルチェックなどを行えると、なお良いなと感じました。
吉城高校の剣道部には初めて伺いましたが、顧問の先生の指導もあってか、挨拶がしっかりできる部員が多かったのが印象的で素晴らしかったです。
Sharezでは、今後も積極的にスポーツ指導分野にも力を入れていきたいと考えております。
エリアや競技を問わず、スポーツに携わる多くの方に、専門的な技術や知識を提供し、よりスポーツを楽しんでいただきたいと思っております。
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