パーソナルトレーニングジム「Sharez」代表の岡崎秀哉です。
岐阜県高山市の「新友陸上スポーツ少年団」の代表である「伏谷美香」氏から、「練習内容がマンネリ化しているので、新たな練習メニューを教えてほしい」との要望をいただき、「小学生向けの陸上競技の動きに繋がる、動き作りセミナー」を開催しました。
場所は、飛騨高山ビッグアリーナのサブアリーナです。
目次
陸上競技の動き作りセミナー開催の経緯
新友陸上スポーツ少年団代表の伏谷美香氏は、30年以上、新友陸上スポーツ少年団で小学生の陸上競技の指導にあたっている大ベテランです。
長年指導しているが故に、練習内容がマンネリ化している部分があり、外部の講師を招き、「ウォーミングアップやドリルとして使える、陸上競技に繋がる動き作りを紹介してほしい」とのことで、セミナー開催に致りました。
小学生向け陸上競技の動き作りセミナーの内容
今回のセミナーの内容はこちらです。
- パフォーマンスアップについての説明
- スクワットの動作説明と実践
- スイングスクワットの動作説明と実践
- スクワットジャンプの動作説明と実践
- スプリットスクワットの動作説明と実践
- スイングスプリットスクワットの動作説明と実践
- スプリットスクワットジャンプの動作説明と実践
- ウォールドリルの動作説明と実践
- ステップドリルの動作説明と実践
今回のセミナーでは、小学校1年生から6年生までの50名ほどと、指導者や保護者の方が20名ほど参加してくださいました。
小学校1年生〜6年生までと「体格や競技レベル」に開きがあるため、前半を高学年、後半を低学年という形で、前半と後半に分けてセミナーを開催しました。
セミナー内容の詳細について、以下で紹介していきます。
①パフォーマンスアップについての説明
トレーニングを始める前に、「パフォーマンスアップとは何か」について、パフォーマンスピラミッドを使って解説していきました。
パフォーマンスピラミッドとは、「正しく動けること → フィジカルの能力 → スキル」の順に、段階的にパフォーマンスを高めていく考え方です。
この考え方が浸透していないケースがよくあり、技術練習(スキル練習)ばかりで怪我のリスクが高くなっていたり、パフォーマンスを効率よく高められてないことがあります。
私自身の学生時代も、「何本、何セット行う」とかの数値にとらわれており、一つ一つの動作や、正しく身体を使うという考え方は疎かになっていました。
そこで、陸上競技のベースになる「走る動作」について、正しく身体を動かす考え方をお伝えし、実践ドリルを紹介していきました。
②スクワットの動作説明と実践
陸上競技のスプリントやジャンプに繋がる動きとして、「スクワット」を紹介しました。
スクワットは、「膝関節や股関節の曲げ伸ばし」を連動させる動きなので、走るときの「膝の持ち上げや、脚を地面に振りおろす動作」と類似しています。
つまり、「スクワットの動作がスムーズに行えていれば、走るときに脚がスムーズに動かせる」ということです。
そこで、まずは正しいスクワットの動作を身につけることから練習していきました。
パフォーマンスの高いと伺っていた方は、やはり「膝関節や股関節の曲げ伸ばし」がスムーズでした。
スクワットのエラー動作として、「しゃがむタイミングで膝が内側に入りやすい」、「股関節をうまく曲げることができない」などがある方は、走るときに同様のクセが出てしまう可能性があるので、改善をしていった方が良いと感じました。
③スイングスクワットの動作説明と実践
スイングスクワットは、スクワットの動きに腕の動きを加えたトレーニングで、通常のスクワットより、走る動きに近くなります。
エラー動作としては、腕の振りと下半身の動きのタイミングがズレてしまい、腕の振りの力を下半身の動きに活かせないというが多く見受けられました。
まずは腕の振りを強調しすぎなくて良いので、軽い腕振りからタイミングを合わせることを優先して動くように、練習していきました。
④スクワットジャンプの動作説明と実践
上記のスイングスクワットの動きを活かして、その勢いのまま垂直にジャンプします。
スクワットとスイングスクワットを事前に行ったので、股関節や膝の関節と腕振りのタイミングが合わせやすく、スムーズに行えている方が多かったです。
スクワットジャンプの動きでは、高くジャンプすることよりも、「タイミングを合わせて、できるだけ無駄な力を入れずにジャンプすること」を意識するようにお伝えしました。
⑤スプリットスクワットの動作説明と実践
スクワットの動作を、少しずつ走る動作に近づけていくために、スクワットからスプリットスクワットに変化させて動作の習得を目指しました。
スプリットスクワットは「脚を前後にズラし、片足に重心をかけた状態で行うスクワット」なので、より走る動作に近いフォームで、下半身の出力を体感することができます。
エラー動作としては、「前に出した足にうまく体重が乗せられず、後ろの足に体重がかかり過ぎてしまう」というのがありました。
一見、形ができていても、前に出した脚のお尻や太ももの裏側の使用感がない場合があるので、股関節や膝の関節の曲げ具合や重心の前後バランスを調整する練習をしました。
⑥スイングスプリットスクワットの動作説明と実践
スイングスプリットスクワットは、スプリットスクワットの動きに腕の振りを加えます。
走る動作の「片足で接地し、タイミング良く腕を振る動作」をイメージしたトレーニングです。
両足でのスイングスクワット以上に、腕の振りと下半身の動作のタイミングが合わない方が多かったです。
動作スピードをゆっくりにして、「小さい動きで良いので、まずはタイミングを一致させること」を練習しました。
⑦スプリットスクワットジャンプの動作説明と実践
スイングスプリットスクワットの動きで、腕の振りの勢いを活かして、ジャンプ動作まで繋げるトレーニングです。
地面からうまく反力をもらえて、股関節や膝を伸ばす動作をスムーズに行うことができ、腕の振りのタイミングが一致していれば、ジャンプは垂直方向になり、力まなくても身体が浮く感覚が得られます。
タイミングが合わないと、「ジャンプが前方にズレてしまったり、空中でバランスが崩れてしまったり、垂直に跳べてはいるけれど、力みが大きい」などのエラーが起きています。
まずは高くジャンプしようとせず、「小さなジャンプで良いので、腕の振りと下半身の動作のタイミングを合わせ、垂直に力を伝える」ように練習しました。
⑧ウォールドリルの動作説明と実践
ウォールドリルは「壁を使って、走る動作の動き作りをするトレーニング種目」です。
ウォールドリルには様々なパターンがありますが、今回は基本的なドリルを紹介しました。
- ステップ1:片脚を引き上げた状態から振り下ろし、反対側の脚を引き上げる「一歩の入れ替え」
- ステップ2:「1、2」と、二歩の脚の入れ替え
- ステップ2:「1、2、3」と、三歩の脚の入れ替え
「専門的かつ新鮮な指導」という意味では面白みがあったかもしれませんが、なかなかうまくできない状況でしたので、これは少し難しい種目を紹介してしまったかなと反省しています。
⑨ステップドリルの動作説明と実践
ウォールドリルは身体を前傾した状態での動きをイメージしたドリルが多いですが、ステップドリルは壁を使わずに、その場でステップして、良い走る動作の獲得を目指すドリルです。
ウォールドリルで行った、「一歩、二歩、三歩の脚の入れ替えドリル」をその場で行い、その後に「前進しながら脚を入れ替えかえるドリル」を行いました。
まとめ
正しい動作を獲得するには、ベースとなるシンプルな動作(スクワットトレーニングなど)から、徐々に、実際の走る動作に近づけてトレーニングすることが効果的です。
今回のセミナーの良かった点としては、生徒のみなさんが興味を持って取り組んでくれたことです。
一方で、内容を理解しやすいように伝えられたかという点については、課題があったと思います。もっと分かりやすく、受講者に合わせた内容や言葉の選択、コミュニケーションの取り方を考える必要があると感じました。
普段のパーソナルトレーニング指導では、最も若い方でも20代の方が対象なので、小学生の方と接する機会が少なく、以下が把握し切れていなかったと感じました。
- どんな動きが取り組みやすいか?
- どのように伝えると理解しやすいか?
- どのような内容に興味があるか?
この部分に関して、もっと情報収集をし、内容や構成、コミュニケーションを変えて次回以降のセミナーには挑みたいと思います。
今回のセミナー開催にあたり、ご協力いただきました皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。
弊社Sharezとしては、こういったスポーツ指導に関わる活動を、「エリア、年代、性別、競技」問わず、積極的に行っていきたいと考えています。
部活動やクラブチームで、「トレーニングやエクササイズのセミナーを実施してほしい、セミナーに興味がある」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ気軽にお問い合わせください!