パーソナルトレーニングジム「Sharez」代表の岡崎秀哉です。
私の母校である岐阜県立斐太高校の野球部の方々に、スポーツをする上で大切な栄養についてお伝えするセミナーを2024年3月4日に開催しました。
目次
高校野球選手向けスポーツ栄養セミナー開催の経緯
岐阜県立斐太高校の野球部顧問である鴨林先生が私の同級生ということで、今回のセミナー開催のご縁をいただきました。
「野球部の方々に、スポーツをする上で大切な栄養について伝えてほしい」ということで、栄養面のお話をさせていただくことになりました。
学生さんだけでなく、多くの親御さんにもご参加いただけました。学生スポーツの栄養面を変えていこうと思うと「どうしても親御さんのご協力が必要」なので、非常にうれしい参加でした。
※開催場所は、Sharez高山店パーソナルジムです。
高校野球選手向けスポーツ栄養セミナーの内容
今回のセミナーの内容はこちらです。
- 高校野球における体型の変化・身体作りと栄養の重要性
- 強豪校の取り組み
- 身体作りのための栄養&ワークシートを用いたワーク
説明資料と合わせて「ワークシート」を用意し、学ぶだけでなく、自分自身の栄養について考えていただきながら進めていける形にしました。
①高校野球における体型の変化・身体作りと栄養の重要性
まずは、高校野球における体型の変化・身体作りと栄養の重要性をお伝えしました。
具体的には「甲子園出場選手の体型の変化」についての説明です。
1980年代〜2023年までの甲子園出場選手の平均身長と平均体重の推移ですと、2010年代から徐々に平均体重が増加していることが明らかになっています。1990年くらいには68kgほどだった平均体重が、2023年には73kg近くになっているのがグラフから分かります。
一方、身長はさほど大きい変化はないので、単純に身体が大きくなっていると考えられます。
23年センバツ甲子園出場校・平均身長&平均体重
( )内前回比大会平均身長:173.9(+0.2)
大会平均体重:72.5(-0.9)私立平均身長:174.4(+0.2)
私立平均体重:73.2(-0.9)公立平均身長:172.1(-0.1)
公立平均体重:70.1(-1.4)上がり続けていた平均体重が久々に前年から減りました。 pic.twitter.com/zq2NAgF498
— コスメンディ (@cosmendy) March 17, 2023
この辺りの時期は、ダルビッシュ有選手を始め、メジャーにいった日本人投手がどんどん増え、日本にいた頃よりも身体を大きくしてプレーする姿が見られたので、ウエイトトレーニングや栄養の重要性などが浸透し始めた時期なのかもしれません。
また、国際武道大学のスポーツパフォーマンスを専門とする方の「高校球児1,030名を対象に研究したデータ」によると、「球速が速い、スイングスピードが速い、本塁打数が多い」などの統計では、「除脂肪体重が多い(筋肉量が多い)、下半身や体幹部の筋肉量が特に多い」などのデータが出ています。
参考 高校野球選手1030人調査から見えた「体組成データ」と「パフォーマンス」の関係性スポーツ×科学で指導をアップデートするメディア「TORCH」こういったデータから見ても、現代の高校野球において、身体作りが非常に重要であると言えます。
今回参加していただいた斐太高校の学生は1名80kgを超えている学生はいましたが、甲子園出場の平均体重と比べると体重が軽い学生が多い状況でした。
②強豪校の取り組み
「では、実際に強豪校は身体作りに対してどんな取り組みをしているのか」という点についても触れました。
強豪校というと私立校が多いので、「金銭面や練習環境、競技レベル」についての事例も紹介しました。
強豪校の事例1:広島県の武田高校
事例の一つ目は、広島県にある武田高校です。
武田高校は、夜も授業があったりで「平日は50分間しか練習できない」という環境です。
その環境でもプロ選手を輩出しているということで注目され、メディアでも取り上げられています。
「短い練習時間で効率良く」という点では斐太高校も参考になるのではと思い、ピックアップしました。
武田高校は短時間でも成果を高めるために、「フィジカルトレーニングの強化や栄養面の管理に細かく取り組んでいる」とのことです。
参考 高校野球の常識を覆す 広島・武田高校の「フィジカル革命」未来コトハジメ〜社会課題解決のアイデアバンク〜強豪校の事例2:東京都の共栄学園
事例の二つ目は、東京都の共栄学園です。
こちらは、専用グラウンドがないにも関わらず、甲子園に出場経験があります。
この学校も「与えられた環境を最大限に活かして工夫をしながら」という点で参考になるのではと思い、取り上げました。
共栄学園は専用グラウンドはないものの、トレーニングルームが充実していたり、食堂があるということで、それらを活かして「フィジカルトレーニングと食トレに注力した結果、急速にレベルアップしている」とのことです。
参考 共栄学園が甲子園出場を果たした背景にある「画期的練習法」 専用グラウンドがなくても大丈夫web Sportiva③身体作りのための栄養&ワークシートを用いたワーク
身体作りのための栄養&ワークシートを用いたワークでは、ワークシートを使いながら、「具体的に自分たちの食事をどう見直していくか」という点について伝えました。
食事について感覚的ではなく、数値で管理していくのが大切です。数値を用いることで、学生や指導者、親御さんの中で共通認識を持てますし、再現性も高めることができます。
「単純に食事を増やした、お肉をたくさん食べた」で結果が出たとしてもそれは再現性が低く、効率が悪くなる可能性もあり、勿体無い取り組みになる可能性もあります。
ご自身の摂取カロリーの計算をするところから始め、どの程度の摂取カロリーが必要かを計算していきました。その値を元に、「糖質、タンパク質、脂質」の比率を算出します。
理想の目標摂取カロリーとその栄養素の内訳を決めた後は、実際の日々の食事内容に落とし込んでいきます。
日々の管理は、栄養管理アプリなどを使っていただくことで、できるだけスムーズに実施できるヒントをお伝えしました。
また、最初から完璧を求めるとハードルが高くなってしまうので、強豪校も食事改善の取り組みとして、「最初のステップはおにぎりを追加する」などのシンプルなステップから取り組んでいたという事例も紹介ました。
まとめ
ワークシートの記載内容を見ると、日々の摂取カロリーが不足している学生が多い印象でした。
食事を改善することで、「練習のパフォーマンスや体調、身体つき」にもかなり変化が出ると感じましたし、それによりチームのレベルも高まっていく可能性を感じたので、ぜひ今回の内容を参考にし、レベルアップを目指してほしいです。
学生の方はもちろんですが、親御さんが積極的に参加し、質問などしてくださったのが印象的でした。
今後もジュニアアスリートや学生アスリートはもちろんですが、その親御さんにもお伝えする機会を増やしていきたいと考えています。
エリアや競技を問わず、スポーツに携わる多くの方に、専門的な技術や知識を提供し、よりスポーツを楽しんでいただきたいと思っております。
今回のような栄養セミナーや、フィジカル強化セミナーなどに関心のある指導者の方、親御さん、学生さんなどいらっしゃいましたら、「お問い合わせフォーム」よりご相談ください。