パーソナルトレーニングジム「Sharez高山店」トレーナーの桂川晃尚です。
岐阜県高山市の社会人女子ソフトボールチーム「高山ウインズ」のコーチである「桂川尚司」氏からお話をいただき、「冬場の怪我のリスク軽減について」と「普段から取り入れられる、競技力を高める動作改善のストレッチ方法やウォームアップ方法」をお伝えするセミナーを、2022年11月28日に開催しました。
セミナー会場は「高山市立朝日小学校」です。今回のセミナーは座学やストレッチがメインでしたので、体育館での実施となりました。
目次
ソフトボール選手向けの怪我予防と動作改善セミナー開催の経緯
桂川コーチは私の父で、中学生ソフトボール指導の経験もあり、現在は社会人ソフトボールの指導をメインに行っています。
お話を伺っていると、現在のチームには以下の課題があることが分かりました。
- 冬場は寒さで身体が硬くなり、動きが悪くなったり怪我のリスクが高まるので、そのリスクを軽減させたい。
- 筋肉が弱ったり、ストレッチ性が低下することで、どんな怪我が起きやすいのか?それに対して、何を実施すれば良いのか知りたい。
- 技術面の指導はできるが、フィジカルトレーニングやストレッチ面の知識がなく、適切な指導ができない。
- 普段行なっているウォームアップが個人に任せきりで、コーチ陣で指導できる人がいない。
そこで、今回のセミナーでは、「ソフトボールで起こりやすい怪我の解説と対策について」と、「競技力を高める動作改善のストレッチ方法やウォームアップ方法」を、お伝えする機会をいただきました。
ソフトボール選手向けの怪我予防と動作改善セミナーの内容
今回のセミナーの内容はこちらです。
- 「ソフトボールで起こりやすい怪我」と「怪我の要因」について
- ソフトボールの動きに合わせた下半身の怪我予防セルフストレッチ
- ソフトボールの動きに合わせたウォームアップ
高山ウインズさんは選手登録12名(20代〜60代)のチームで、今回のセミナーには10名の選手に参加いただきました。
参加者全員に資料を配布し、セミナー中に写真を撮ったり、メモを取っていただき、その後の日々の練習で活かせる様にしました。
セミナーの各内容の詳細について、以下で紹介していきます。
①「ソフトボールで起こりやすい怪我」と「怪我の要因」について
桂川コーチより、「最近はバッティング練習に力を入れており、足腰をかなり使うため、下半身の怪我と予防法について知りたい」と要望がありました。
ソフトボールで起こりやすい怪我としては下表の内容が考えられますが、今回は「下半身の怪我」に焦点を絞り、「肉離れ」と「足関節捻挫」について説明しました。
肉離れ
ダッシュやジャンプなどの急な動きによって、筋膜や筋繊維を損傷または断裂する症状をいいます。
肉離れの要因としては、「筋疲労や柔軟性低下、ウォームアップ不足」が挙げられます。
ソフトボールでは、「ベースに向かう際(ベース間)のダッシュ時」や「守備のジャンプキャッチ時」に、肉離れが起こるケースが考えられます。
足関節捻挫
足が地面またはベースなどに接地する際に、足関節の内反(足裏が内側に入る)が強くかかり、靭帯に受傷する症状をいいます。
足関節捻挫の原因としては、「姿勢不良や柔軟性低下、ウォームアップ不足」が挙げられます。
ソフトボールでは、「ベース上に足が乗った時」や「守備でジャンピングキャッチをした際の着地時」に、足関節捻挫が起こるケースが考えられます。
②ソフトボールの動きに合わせた下半身の怪我予防セルフストレッチ
今回は上記の「肉離れ」と「足関節捻挫」について、怪我予防に効果的な下半身のセルフストレッチを紹介しました。
ストレッチ部位はこちらです。
- 大腿四頭筋
- ハムストリングス
- 内転筋群
- 臀筋群
- 腓腹筋
- 前脛骨筋
大腿四頭筋
大腿四頭筋は、太ももの前にある4つの筋肉の総称です。主に「膝を伸ばす」「脚を前に上げる」働きをします。
大腿四頭筋のストレッチ性が低下すると、肉離れやジャンパー膝の怪我を引き起こす原因となるため、入念なストレッチが必要となります。
ハムストリングス
ハムストリングスは、太ももの前にある3つの筋肉の総称です。主に「膝を曲げる」「脚を後ろに引き上げる」働きをします。
ハムストリングスのストレッチ性が低下すると、急なダッシュやジャンプ時に、肉離れを引き起こす原因となるため、ストレッチ性を高めることが重要となります。
内転筋群
内転筋群は、太ももの内側にある筋肉の総称です。主に「脚を閉じる」「脚を前に上げる」働きをします。
内転筋群のストレッチ性が低下すると、ダッシュ動作やサイドステップなどの方向転換時に、肉離れを引き起こす原因になるため、入念なストレッチが重要となります。
臀筋群
臀筋群は、お尻の筋肉の総称です。主に「脚を後ろに伸ばす」「股関節を外に捻る」「脚を外に開く」働きをします。
座り姿勢が増えたりすることで、臀筋群が硬くなり、骨盤の後傾(骨盤が後ろに傾くこと)が強くなります。
骨盤の後傾が強くなると、腰椎のポジションがズレて、腰痛や坐骨神経痛などを引き起こしやすくなります。
腓腹筋
腓腹筋はふくらはぎの筋肉です。主に「膝を曲げる」「足首を伸ばす」働きをします。
腓腹筋は、「走る」「飛ぶ」「蹴る」などの動きで強く使われます。
「急な強い負荷により筋肉が耐えられない」時に、肉離れを引き起こしてしまいます。
前脛骨筋
前脛骨筋は、すねの外側にある筋肉です。主に「足首を曲げる」「足裏を内に倒す」働きがあります。
O脚やガニ股気味の方は、足の外側に体重がかかりやすく、足首が内に入りやすいため、前脛骨筋に常に力が入っている状態になり硬くなります。
前脛骨筋が硬くなると、シンスプリントや前脛骨筋炎、足関節捻挫などを引き起こしてしまいます。
③ソフトボールの動きに合わせたウォームアップ
セミナーの最後に、普段から取り入れられる「ウォームアップ」を実施しました。
普段の練習時間は「週1回の1時間半」と短いため、その中でも質の高いウォームアップができるように組み立て、解説とフォームを確認していきました。
実施したウォームアップ内容はこちらです。
- ランニング
- 首、肩、肩甲骨ストレッチ
- 股関節ストレッチ
- スクワット
- ランジツイスト
- ダッシュ (18mスプリント 4本)
ランニング
ランニング時は、腕を振りや脚上げなどを意識的に行うことで、筋肉への神経伝達スピードを高め、スムーズな動きを作ります。
また、心拍数を上げることで交感神経を優位にし、心身共に運動するモードへと切り替えます。
体育館全面を使って、右に2周、左に2周を行いました。
首、肩、肩甲骨ストレッチ
上記では下半身のセルフストレッチをご紹介しましたが、上半身の可動性を高めることで、ソフトボールのパフォーマンス力を高めることにも繋がります。
フライ捕球や送球動作、投球動作などで、使われる筋肉のストレッチを行いました。
股関節ストレッチ
上記の下半身のセルフストレッチでも触れていますが、大腿四頭筋やハムストリングスなどの柔軟性が低下することで、怪我のリスクが高まります。
股関節の屈曲や伸展、外旋の動きを用いた種目を行いました。
スクワット
「ストレッチ+トレーニング」要素として、スクワットのフォーム確認と動きを実施しました。
スクワットの実施時に、「膝が前に出過ぎる」、「爪先が浮いてかかと重心になる」などのエラー動作が見られました。
スクワットのポイントをお伝えし、合わせて関連部位をほぐすことで、正しいフォームに近づけていきました。
ランジツイスト
「ストレッチ+トレーニング」要素として、ランジの動きを確認し、ツイスト動作を加えました。
スクワットよりも重心移動が大きくなるため、バランスをとるのが難しくなります。
後ろ足の膝をついても良いので、バランスを取りながらツイスト動作を出来るように、個々のレベルに合わせてアレンジして実施しました。
ダッシュ (18mスプリント 4本)
ソフトボールの塁間距離を想定して、18mダッシュを実施しました。
後ろ重心になっていると、加速できず早く前に進むことができないため、スタート時の前傾意識をポイントとしてお伝えしました。
まとめ
社会人になると、運動する機会も減ってしまい、筋力や柔軟性が低下しやすくなります。
それが原因で身体のバランスが崩れ、姿勢不良や関節に負荷がかかり、怪我のリスクも高まっていきます。
少しでも怪我のリスクを抑え、パフォーマンス力を上げていくためにも、一つ一つの動きに対して「関節に無理なく、正しく動けるか」が、いかに重要かを改めて感じました。
今回のセミナー開催にあたり、ご協力いただきました皆様に、この場をお借りし感謝申し上げます。
Sharezでは、今後も積極的にスポーツ指導分野にも力を入れていきたいと考えております。
エリアや競技を問わず、スポーツに携わる多くの方に、専門的な技術や知識を提供し、よりスポーツを楽しんでいただきたいと思っております。
「部活動やスポーツチームでセミナーを実施して欲しい」というご要望がございましたら、「お問い合わせフォーム」よりお気軽にお申し付けください!