パーソナルトレーニングジム「Sharez高山店」トレーナーの桂川晃尚です。
岐阜県高山市ソフトミニバレーボールチームの「山王フラワーズ」の代表である「木下真喜子」氏から、「選手の瞬発力を強化してほしい」と提案をいただき、バレーボールにおける瞬発力を高めるセミナーを2022年8月4日に開催しました。
セミナー会場は「高山市立日枝中学校」です。日枝中学校は、わたしの母校であり、当時はバレーボール部に所属しておりました。
目次
バレーボール向けの瞬発力向上セミナー開催の経緯
「山王フラワーズ」の木下代表から、チームの課題として以下の内容があることを伺いました。
- 「相手が打ってくるスパイクやフェイント、ワンタッチボール」に対して、ボールの落下地点に素早く入ることができない。
そこで、ソフトミニバレーボールの動きを考慮して、バレーボールにおける「ボールの下へ素早く入るために必要な能力と練習法」をお伝えする機会をいただきました。
ソフトミニバレーボールとは?
ソフトミニバレーボールは、誰でもスポーツが楽しめるものとして考案された「高山市発祥のスポーツ」です。
私もソフトミニバレーボール経験者の一人で、山王フラワーズのチームの一員として所属させてもらっております。チームメンバーの年齢層は10代〜70代までと幅広く、バレーボール初心者の方も多いです。
ソフトミニバレーボールは、6人制バレーボールとはルールが異なり、以下の特徴があります。
- ボールが、バレーボールよりも少し大きく、柔らかい。
- バトミントンコートを使用する。
- ネットの高さは2m。※レディースなどの場合は低くなる。
- 男女混合の4vs4で試合をする。※メンズやレディースで分かれることもある。
- ボールは必ず3回触れて相手コートに返す。
- スパイク時のジャンプ禁止。 ※片足が床に接地していればOK。
- サーブは、相手コートではなく、下打ちで自チームのメンバーを目掛けて打つ。
バレーボール向けの瞬発力向上セミナーの内容
今回のセミナーの内容はこちらです。
- バレーボールに必要な動きの説明
- Tテスト評価法の説明と実践
- Tテストの動きを分解して、それぞれを練習
- Tテストの再測定
今回のセミナーは、約20名の選手に参加いただきました。
参加者全員に資料を配布し、セミナー中に写真を撮ったり、メモを取っていただき、その後の日々の練習で活かせる様にしました。
セミナーの各内容の詳細について、以下で紹介していきます。
①バレーボールに必要な動きの説明
バレーボールで、ボールの落下地点に素早く入るためには、大きく以下の3つの力が求められることを解説しました。
- 動体視力(動いているものの情報を正確に判断する力)
- 反射速度(目や頭でとらえた情報を瞬時に伝達する力)
- 移動速度(落下地点までの移動やその姿勢を維持する力)
今回は、セミナー時間と普段の練習から取り組めるものを考慮し、3つ目の「移動速度」に焦点を絞って、練習内容を構成しています。
②Tテスト評価法の説明と実践
移動速度の練習を始める前に、現状の各選手の移動速度を評価しました。
評価方法として、「Tテスト評価法」を実践しました。
Tテスト評価法とは?
※参考記録としては、プロスポーツ選手の速い方で「8秒台」です。
バレーボールの動きとTテスト評価法の関係
バレーボールでは、サーブレシーブやスパイクレシーブにおける1歩目の移動速度や、フェイントやワンタッチボールに対する反応速度と方向転換スキルが必要となります。
よって、Tテストのタイムが速い方は、前後左右の方向転換やスピード、機敏性の能力が高く、バレーボールにおいても、素早くボールの下に入ることができます。
Tテスト評価法の実施
今回は、T字型を2面作成し、2チームに分かれてタイムを測定しました。
1人2回測定し、タイムの良い方を記録としています。
年齢や性別、運動歴などによってタイムの差が出ますが、9秒台が2人出ていました。このタイムはかなり早いです!
Tテストを実施後は、少しでもタイムが速くなり、競技レベルがアップするための方法として、Tテストの動きを分解し、それぞれ動きの練習方法でお伝えしていきました。
③Tテストの動きを分解して、それぞれを練習
Tテストの動きを分解すると、以下の5つの動きになります。
- スタート
- ダッシュ
- 減速
- 方向転換
- バック走
瞬発力や機敏性を鍛え、加速や減速、方向転換のスキルを習得することで、Tテストのタイムが向上します。
これをバレーボールに置き換えると、サーブレシーブやフェイントカバーの落下地点に素早く入る能力などを高めることに繋がります。
そこで、上記の5つの動きを向上するために、以下の6つの練習方法をお伝えし、実際に練習していきました。
- ウォールドリル
- バーティカルステップ
- 減速からの方向転換
- サイドステップ
- サイドステップからの方向転換
- バックバウンディング
ウォールドリルの説明と実践
ウォールドリルとは、壁を使い、「脚の入れ替えや地面を蹴る力、姿勢を維持する力」を習得するトレーニング法です。
主に、瞬発的な力の発揮やスプリントなどにおける「加速局面の動作習得」に役立ちます。
やり方としては、壁に手をつき、前傾姿勢から、脚を素早く入れ替えるステップを行いました。
バーティカルステップの説明と実践
バーティカルステップとは、「縦の前後に動くステップ」のことを意味します。
走る動きから、素早く減速したいときには、速く細かい足の動きが必要となります。その力をつけるために、今回はラダーを使用して、2イン2アウト(左右)の動きを取り入れました。
減速からの方向転換の説明と実践
Tテストでは、フロント走の後にサイドステップへの切り替えがあります。
その切り替えをスムーズに行うには、「減速する能力」と「横への方向転換する能力」が必要となります。
バレーボールでは、セットアップ時やブロックカバーなどの、予測不能なボールに対して素早く反応して、ボールの落下地点に入ることに繋がります。
今回は、Tテストのコースを使って、なるべく低い姿勢から減速し、進行方向に重心を移動させて切り替える練習(左右)を取り入れました。
サイドステップの説明と実践
横に進む動き(サイドステップ)では、進行方向と逆の足で、地面を強く蹴って移動する力が必要となります。
バレーボールでは、ブロックでの横移動などに繋がる能力となります。
今回は、「サイドステップで体育館半面(20m)を何歩でいけるか」を取り入れて、地面を強く蹴る感覚を養っていきました。
サイドステップからの方向転換の説明と実践
Tテストでは、サイドステップからバック走への切り替えがあります。
バック走に切り替えるためには、後ろへ重心を移動させる能力が必要となります。
こちらも、Tテストのコースを利用して、なるべく低い体勢から、後ろ方向へ重心を移動させる練習(左右)を取り入れました。
バックバウンディングの説明と実践
Tテストでは、最後に10mのバック走があります。
後ろへ重心を移動させ、地面を蹴る力が必要となります。その力をつけるため、バックバウンディングを取り入れました。
バックバウンディングは、「片足で地面を蹴って、後ろに大きくステップする練習法」です。
この練習では、腕振りと地面を蹴るタイミング(リズム)を合わせることや、前屈みにならないように後ろに重心を保つことがポイントになります。
体育館半面(20m)を何歩でいけるかを実施し、バック走に必要な能力を高めていきました。
④Tテストの再測定
Tテストに必要な能力の説明と実践を終えて、再度Tテストを実施しました。
実施中に、転倒してしまったり、練習の疲労からタイムが下がってしまった方もいますが、半数以上の方が1回目よりもタイムがよくなり、速い方で1.65秒タイムが速くなりました。
今回実施してきた内容を継続することにより、Tテストのタイムが早くなるだけでなく、バレーボールに必要なダッシュ力や方向転換等のスキルも向上し、瞬発力強化にも繋がっていきます。
実際に今回の内容を実践いただき、数ヶ月後に「Tテストのタイムがどれくらい向上したか」を確認したいと考えています。
これらの成果やビフォーアフターのデータは、別途記事にしてご紹介したいと思います!
まとめ
高校や中学校の部活動とは異なり、社会人チームでは、週1回の2時間など、練習時間が短くなります。
「限られた時間の中でチームの課題をクリアするために、どんなことをしたら良いか分からない」といったチームは、他にも多いのではという気づきもありました。
これまでの活動として、2019年に地元高山で栄養セミナーを開催し、継続的にセミナーを行っていこうとした矢先に、コロナの影響で3年ほど地元への貢献活動が進められませんでした。
久しぶりにセミナーを開催し、地元への貢献が実現できたことに喜びとやりがいを感じました。今回のセミナー開催にあたり、ご協力いただきました皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。
Sharezでは、今後も積極的にスポーツ指導分野にも力を入れていきたいと考えております。
エリアや競技を問わず、スポーツに携わる多くの方に、専門的な技術や知識を提供し、よりスポーツを楽しんでいただきたいと思っております。
「部活動やスポーツチームでセミナーを実施して欲しい」というご要望がございましたら、「お問い合わせフォーム」よりお気軽にお申し付けください!