パーソナルトレーニングジム「Sharez」代表の岡崎秀哉です。
高山西高等学校の陸上部コーチである「伏谷」氏から、「選手の競技力を上げるために、ウエイトトレーニングを強化していきたい」とお話をいただき、2023年8月よりウエイトトレーニング指導を実施しています。
普段は、Sharez高山店に3〜4名で来ていただき、セミパーソナルトレーニングのような形のトレーニング指導が中心ですが、今回は「高山西高校のトレーニングルームで、ウエイトトレーニングの全体指導をお願いしたい」とのご要望があり、高山西高校での出張トレーニング指導に伺いました。
目次
高校陸上選手向けウエイトトレーニング指導の内容
今回の内容はこちらです。
- ウォーミングアップ
- 全身の動きの評価(アセスメント)
- トレーニング種目1:ベンチプレス
- トレーニング種目2:デッドリフト
①ウォーミングアップ
ウォーミングアップは、「ケガを予防する目的、トレーニング効果を高める目的」で行います。
今回は朝8時からという開始時間で、暖房環境も十分ではない場所での実施でした。
外気の気温が低いと、身体が強張り、筋肉の伸縮性も低下します。ウォーミングアップで、普段以上に「しっかりと体温や筋温を温め、血流を促進し、筋の伸縮性を高めた状態」でトレーニングをスタートするのが望ましいです。
今回は、「ワールドグレイテストストレッチ」という、いくつかの動きが組み合わさったエクササイズを実施し、効率よくウォーミングアップができるようにしました。
細かい動きの注意点や感じてほしい効果を伝えながら実施し、マネージャーの方に動画や写真をとっていただき、あとで確認していただける形で進めました。
②全身の動きの評価(アセスメント)
次に、トレーニング前に、身体の動きの評価(アセスメント)を実施しました。
評価する動きは、オーバーヘッドスクワットという「バンザイをした姿勢でのスクワット動作」です。
この種目は、「肩関節、脊柱、体幹部、股関節、下半身」と、全身の動きの特徴をバランス良く評価できるものです。
実施していただいたところ、以下のような動作の特徴が出ていることが分かりました。
- しゃがむ動作の際に、腕が前に流れてしまう
- 深くしゃがめない
- 深くしゃがむと腰が丸まってしまう
動作の特徴によって、一人一人トレーニング中に気をつけるべきポイントや、自宅などで行った方が良いエクササイズが変わってきます。
今回は2名の指導者がいる状態でしたので、それぞれの学生を見て回り、動きの特徴や改善のための指針をお伝えしました。
③トレーニング種目1:ベンチプレス
トレーニング種目の1つ目は「ベンチプレス」です。
動きがシンプルでオーソドックスな種目ですが、正しいフォームが定着しないまま、負荷を重くしてしまっているケースが学生などですとよく見られます。
そこで、まずいつも通りのスタートポジションを作ってもらい、フォームの確認を行いました。
動きを改善するには、意識的な動きによる再現性が必要なので、現在の動きの感覚に目を向けてもらうために、「いつもの動きにおいて、どの部位をどんな感覚で使っているか」をヒアリングしていきました。
次に、正しい動きに改善していくための手順を順に説明しながら動いていただきました。
フォームの改善後、再度、動きの感覚をヒアリングし、最初との違いを確認しながら進めていきました。
正しい動きを一方的に伝えるのではなく、現状との違いを感じてもらいながら伝えることで、トレーニングに対して主体的に取り組みやすいと考えています。
④トレーニング種目2:デッドリフト
トレーニング種目の2つ目は、「デッドリフト」です。
これも同じくフォームの確認から進めていきました。
デッドリフトは、床(あるいはセーフティバー)にバーベルを置いた状態からスタートすることが多いですが、スタートの引き上げを雑に行ってしまっているケースが多々あります。
本来は、このスタートも1レップ目と捉えるつもりで形を作る必要があります。
なぜなら、最初の状態が最も負荷がかかっていない状態なので、最もフォームを作りやすいからです。ここで細かい部分に注意しながらスタートしていくことで、その後のフォームも安定します。
しかし、スタートを雑に持ち上げ、その後負荷がかかった状態でフォームを修正しようとしても、負荷がない状態よりは修正しづらいのです。
また、以下を評価しながらアドバイスしていきました。
- どこまでバーを下ろしていくか
- 下ろす時の股関節の動き
- 脊柱の動き
普段の学校でのトレーニングは、学生たちが中心となって実施するため、学生たちが基本的な動作を評価できた方が、トレーニングの質が高まります。
特に高山西高校のトレーニングルームには鏡がないため、学生同士の評価が重要になってきます。
一緒に見てもらいながら、「どういった動きが正解なのか、どこを注意して見るべきか」などをお伝えしていきました。
まとめ
今回は、フォームの見直しを中心とし、重量はそこまで上げずに終えました。
パフォーマンスアップにおける大切な考え方の一つである「パフォーマンスピラミッド」の観点からも、「重量を高めていく前に、正しい動きの獲得を目指すべき」です。
部活動では、専門的な指導者がいないケースが多く、正しい動作の獲得ができないまま、盲目的に加重したり、テクニックに走ってしまう傾向があります。
短絡的にはレベルが上がっている気がするかもしれませんが、長期的に見た時には動作の質の向上に繋がりづらかったり、パフォーマンスアップを非効率にしてしまう可能性があります。また、怪我にも繋がりやすいです。
そのため、今回のトレーニング指導は、「早い段階で正しい動きを獲得してもらう、そこに意識を向けてもらう」ための時間として使わせていただきました。
Sharezとしては、選手や学生の皆さんはもちろん、その競技の指導者の方にもわかりやすいよう、種目の意図やポイントをしっかり伝えながらセミナーやレッスンを行わせていただいています。
「競技に必要なトレーニングを紹介してほしい、ウォーミングアップやトレーニングを見直したい」という方はぜひ一度お気軽にご相談ください。