パーソナルトレーニングジム「Sharez」代表の岡崎秀哉です。
飛騨地区陸上競技協会理事長の坂谷幸紀氏から、「高山市の高校生のウエイトトレーニング講習をしてほしい」と提案をいただき、ウエイトトレーニングの基本的な種目に関するセミナーを2022年8月5日に開催しました。
セミナー会場は「岐阜県立斐太高校」です。斐太高校は、わたしの母校であり、創立130年以上の歴史を誇る岐阜県で2番目に古い公立高校です(1886年創立)。
目次
ウエイトトレーニングセミナー開催の経緯
高校の陸上競技(特に短距離、跳躍、投てきなどの種目)においては、ほとんどの学校でウエイトトレーニングを組み込んでおり、岐阜県高山市の高校でも実施されています。
しかし、斐太高校を始め、高山市にはウエイトトレーニングを専門的に指導できる方が少ない状況で、部活の先輩が行っているトレーニングを見よう見まねで行うような形が多いと思います。
そういった経緯から、「正しいウエイトトレーニングのフォームの確認やポイント、注意点」の解説をお伝えする機会をいただきました。
ウエイトトレーニングセミナーの内容
今回のウエイトトレーニングセミナーの内容はこちらです。
- 陸上競技におけるウエイトトレーニングの必要性と得られるメリット
- スクワットの基本的なフォームと注意点の確認、実践、フォーム修正
- ベンチプレスの基本的なフォームと注意点の確認、実践、フォーム修正
- デッドリフトの基本的なフォームと注意点の確認、実践、フォーム修正
- クリーンの基本的なフォームと注意点の確認、実践、フォーム修正
セミナーには、以下の高校の「短距離、跳躍、投てき」の選手が約20名と、わたしが現役時代にも指導してくださっていた先生やコーチが参加してくれました。
- 斐太高校
- 飛騨高山高校
- 西高校
100m10秒7の選手や、2年生で走高跳1m95cmの選手なども出てきており、わたしが現役の時代よりも競技レベルの高い選手のレベルはかなり上がっています。
先生や指導者の方には資料を配布し、セミナー中に動画を撮っていただいたりして、その後の部活動で活かせる様にしました。
セミナーの各内容の詳細について、以下で紹介していきます。
①ウエイトトレーニングの必要性と得られるメリット
陸上競技の中でも、「短距離、投擲、跳てき」などの種目は、パワーとスピードが記録に大きな影響を及ぼす種目です。
高校生になると、多くの陸上競技部ではウエイトトレーニングを取り入れていますが、「なぜウエイトトレーニングが必要なのか?」、「ウエイトトレーニングによってどんなメリットが得られるのか?」ということについては、あまり説明されていない状況が多いと思います。
そこで、「ウエイトトレーニングを行うことによって、陸上競技の各種目にどんなメリットがあるのか?」について、以下の内容を説明しました。
- 筋肥大することでパワーが向上する
- 陸上競技において重要となる股関節の使い方がスムーズになる
- 関節の固定性が高まり怪我の予防になる
- 体幹部の安定性が高まる
また、ウエイトトレーニングを行い、筋肥大やパワーの強化を図ることと、走るスピードとの相関性についても研究結果などを用いて説明しました。
これらにより、ウエイトトレーニングを行う目的意識が明確になり、より積極的に取り組んでもらえると考えています。
以下の各種目では、基本動作や鍛えられる筋肉群の説明を行い、その後、生徒をグループ分けして実践に移っていきました。
実践では、「実践者、補助者、フォームチェック者」と役割を設けて、セミナー後もそれぞれの部活で教え合える形をイメージしました。
②スクワットの説明と実践
スクワットの基本動作はある程度できている生徒が多かったですが、以下のようなエラー動作が数名に見られたので修正していきました。
- しゃがむ深さが浅い
- 回数毎にしゃがむ深さがバラバラ
- 股関節の屈曲や伸展動作がうまく使えていない
競技レベルの高い選手と、低学年のまだ競技レベルの低い選手とでは、立ち上がりスピードや動作の正確性にかなり差があると感じました。
今後、ウエイトトレーニングのセミナーがある際には、ある程度レベルによってグループ分けし、実施していく必要があると考えています。
③ベンチプレスの説明と実践
ベンチプレスにおいては、基本的なフォームはできているものの、以下のエラー動作が見られました。
- 胸まで降ろせていない
- 肩甲骨が寄せられていない
- 軌道が安定していない
ベンチプレスは上半身中心の種目でもあるので、今回紹介したウエイトトレーニング種目の中でも、陸上競技の結果と関連性が低いこともあり、競技レベルと必ずしも相関しないなと感じました。
「競技レベルの高い生徒が重い重量を上げられる」というわけではなく、投てきなどの身体の大きな生徒が扱える重量が大きかったりと、体型や種目による差が見られました。
④デッドリフトの説明と実践
デッドリフトにおいては、「バーを降ろしたボトムポジションで姿勢が崩れてしまう」エラー動作が起きている生徒が数名いました。
原因としては、股関節の可動性や使い方がうまくいっていないケースが考えられるので、必要なストレッチや動き作りをお伝えしました。
⑤クリーンの説明と実践
クリーンは今回紹介したウエイトトレーニング種目の中でも、動きが難しい種目です。
実際に、正しいフォームで実践できる生徒はほとんどいませんでした。
クリーンのフォームを分解し、軽い負荷でゆっくりと一つ一つ説明し、まずは動きを理解することから取り組んでもらいました。
クリーンに関しては「単体でセミナーを実践しても良いな」と感じました。
ウエイトトレーニングの成果チェックについて
約20名のウエイトトレーニングのフォームを、1人の指導者で限られた時間の中で見ていくのは難しかったという点では、不完全燃焼なところはありますが、学生達がこれまで行ってきたフォームと、正しいフォームとの違いやポイントはある程度お伝えできたと思います。
今回のセミナーでお伝えした内容を実践いただき、数ヶ月後に「ウエイトトレーニングの扱える重量の向上具合」や「ウエイトトレーニングが競技成績に与える影響」を確認したいと考えています。
これらの成果やビフォーアフターのデータは、別途記事にしてご紹介したいと思います。
【課題】トレーニング環境の整備について
今回の気づきとしては、「トレーニング環境をより整備していきたい」という点があります。
今回のトレーニングルームの設備では以下の問題が見られ、安全面でリスクが高い状態であると感じました。
- バーベルの長さや重さにバラつきがあって、挙上重量の把握が難しい
- 器具が古い
- セーフティバーが壊れている
- プレートを止めるクリップが不足している
トレーニングルームには、指導者が常駐しているわけでないですし、監視カメラの設置もなく、生徒だけでトレーニングを行うケースが多いと思います。
費用はかかりますが、安全面を考慮して、設備の改善や見直しの実施も必要だと考えています。
まとめ
セミナー以前から、トレーナーとして「地元の高校生に対して、今の自分も持っているもので何か伝えられるものがあるんじゃないか?」という想いを抱いていました。
今回、少し形にできた点では嬉しかったですし、非常にやりがいのある取り組みだと感じました。
また、ウエイトトレーニングを積極的に取り入れる陸上部ですら、なかなか正しいフォームでウエイトトレーニングを実践できる学生は少ないという現状を目の当たりにし、「その他の部活動においても良いものを提供できるのでは?」という気づきも得られました。
今回のセミナー開催にあたり、ご協力いただきました皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。
弊社Sharezとしては、こういったスポーツ指導をこれからも積極的に行っていきたいと考えています。
エリアなど問わず、様々な競技や世代のスポーツをしている方に専門的なものを提供し、レベルアップに繋げていただきたいので、「部活動やスポーツチームでセミナーを実施してほしい!」というご要望がございましたら、「お問い合せフォーム」より気軽にお問い合わせください!